給料はなかなか上がらない。一方で物価は上昇し、株価や不動産価格は膨らみ続けている――。私たちの生活が苦しくなる一方で、なぜ市場にはこれほど大量のカネが流れ込んでいるのか?
金融アナリストの高橋克英氏の新刊『超富裕層に「おもてなし」はいらない 世界の一流が日本に惹かれる本当の理由』(講談社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/続きを読む)
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「カネ余り時代」の到来
コロナショックもあり、日本だけでなく欧米の政府と中央銀行により、史上最大規模の金融緩和策と財政出動策がとられてきた。
金融緩和策とは、極めてシンプルにいってしまうと、中央銀行が、人工的に市中に出回るおカネの量を増やすことで、経済を下支えし、浮上させよう、というものだ。
各国の中央銀行からマネーが際限なく供給されているなか、水の流れと同じように、おカネは必ずどこかに流れ着く。
本来、金融緩和は、大量に供給されたおカネが、預金から銀行貸出を通じて企業の設備投資や運転資金に回り、経済や雇用の活性化に繋げるために行っている。
しかし、金融緩和策が余りにも大規模であるため、そこから余り溢れたおカネは、余剰資金として、世界的にも規模が大きく流動性もある株式市場や不動産市場に流れることになる(図表2‐1)。
このため、極論をいえば、高い信用力を持つ日米欧が大規模な金融緩和策を採っている限り、市中のおカネはジャブジャブ状態にあり、国際金融市場は悪くなりようがない。
こうした金融緩和策などの恩恵を最も受けるのは、既に資産・資金を十分に持ち、その資産・資金を元手に投資や開発を行うことができる大手事業者や富裕層だ。

