72歳になっても「年相応の落ち着きや貫禄が身についた自覚がない」と笑う阿川佐和子さん。鏡を見ればシワもたるみも増え、寝顔には愕然。それでも心は“ずっと小学生気分”のままだという。

 老いを嘆きながらも、どこか可笑しく愛おしい――阿川さんがつづる、70過ぎても楽しく元気に過ごす秘訣とは? 新刊『年とる力』(文春新書)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/続きを読む

阿川佐和子さんが綴る「人生後半戦」とは ©文藝春秋

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「72なんてまだ若いわよ」

 この原稿を書いている時点で私は72歳。いやはやたいした歳になったものだと思います。でも、そんなことを私より歳上の方々の前で吐露すると、

「なーに言ってんの。72なんてまだ若いわよ」

 とたしなめられてしまいます。

 実際、この超高齢化社会において、80代や90代でお元気な方はわんさかいらっしゃいます。そういう方々にとって、私はまだ若造もいいところ。「老い」について語る資格などないのかもしれません。

 とはいえ、私自身の心身を顧みれば、たとえばスマホに保存してある10年前の写真を見ると、

「ギョ。今と比べてなんとピチピチしていたことか」

 と驚きます。でも10年前には、それよりさらに10年前の写真を見て、

「おお、若かったなあ」

 と感慨に耽ったことを思い出す。だから、今から10年後、すなわち私が82歳になって72歳の自分の写真を見たら、まちがいなく、

「70代はまだピチピチしていたなあ」

 と今の自分にがっかりすることでしょう。