50代で「血管年齢78歳」と宣告されながらも、「食べたい気持ちは止めたくない」というのが阿川佐和子さん。健康診断に怯え、食事制限に揺れ、それでも“美味しいものを楽しむ人生”を選び続けてきた。
そんな阿川さんが、今は亡きお母さまが最期までバターを食べ続けた姿から感じた、「長生き」より大切なものとは? 新刊『年とる力』(文春新書)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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身体の声に耳を澄ます
どこか具合の悪いところがあるかと問われれば、まったくないとは言い切れません。
手術や入院が必要とか、日常生活や仕事に支障をきたすとか、そこまで切迫するほど悪くはないけれど、数年に一度のペースで人間ドックなんぞを受けてみると、あちこちにガタが来ていることを思い知らされます。
70年もの長きにわたって、一秒たりとも休むことなく健気に動き続けてくれた身体です。そりゃ、生まれたばかりの赤ちゃんのような清く正しくよどみのない状態であるはずはありません。
私の場合、具体的なガタと言えば、なにはともあれ動脈硬化。
すでに50代にして、
「78歳の血管です!」
とお医者様に告げられて、しばし途方に暮れたのですが、そのうち恐怖が薄らいで、しばらくしてまた検査をすると、別のお医者様から、
「頸動脈が糸のように細くなっている」
と宣告されて、ギョッと驚き、凹みます。
