今回考えてみたいのは、「本人が違うと言ったら、それで話は終わるのか?」問題である。
最近気になるのは首相本人や政府の公式アカウントが報道を否定すると、それがまるで“答え”のように扱われることだ。
「本人が違うと言っているんだから」
「政府が否定したんだから誤報なんじゃないの」
というような反応である。当人が疑問について答えてくれた! と安心する人もいるだろう。だが、そう単純な話ではないように思える。
SNSで話題の内閣広報室の「試行アカウント」
もちろんケースによっては本人の説明に大きな意味があることもある。スポーツ選手などの場合だ。
今年1月、メジャーリーグのダルビッシュ有投手が自身の「引退報道」についてXで説明したことがあった。引退は決めていないと本人が現状を説明した。こういうケースはわかりやすい。本人の説明が100%絶対とは限らないが、少なくとも「当事者の自己説明」として意味がある。
しかし、これが政府、もっと言えば権力者側の発信となると話は変わってくる。そこには最初から政治的な利害が絡むからだ。
このところSNSで話題なのは、内閣広報室の「試行アカウント」である。首相官邸は5月、このアカウントの運用を試験的に始めた。説明によると、「内閣広報官が総理の近くから見る総理の姿などを、より柔軟にタイムリーに発信するため」だという。
実際、投稿されているのは、首相のぶら下がり取材を横からとらえた写真や、政府専用機に乗り込む姿など、いわば“舞台裏ショット”が中心だ。ここまでは、SNS時代の新しい広報なのだろう。
