余談ですが、以降の「ポケモン」シリーズでは、ゲーム内でのマップが物理的に広くなったり、ハワイ風、イギリス風、スペイン風、フランス風など、様々な文化圏がデザインモチーフになっていたりするので、ワールドツアー的なイメージを持っている方も多いかもしれませんが、それでも一作品ごとの行動範囲はあくまで「ひとつの地方」単位であり、それらがシリーズとして積み重なっていくことで面的に作品世界が広がっていくような構成になっています。
ここもまた、例えば『ドラクエ1』~『3』が時間軸での連続性を持っていた構成と対照的で興味深い部分ですね。「線でつながっていくドラクエ」「面で広がっていくポケモン」という捉え方もできるかもしれません。
ポケモンのゲームデザイン(3)戦闘シーンの再解釈
ポケモンにおけるゲームデザインの第3の特徴、それは「戦闘シーンの再解釈」です。
シナリオクリアを目的とした一般的なRPGでは、個々の戦闘においても「敵を倒すこと」が至上命題になるので、プレイヤーの攻撃力は高ければ高いほどいい、ダメージはデカければデカいほどいい、ということになります。
ところが、ポケモンではゲームの最終目的が「ポケモンずかんのコンプリート」なので、戦闘シーンの目的として「捕獲」も重要になってきます。このポケモン捕獲のシステムが発売当時としては斬新なもので、「できるだけ多くのダメージを与えて弱らせる」ことで捕獲の成功率は上がっていくのですが、ダメージを与えすぎると捕まえたいポケモンを倒してしまう。このジレンマが、戦闘をより奥深いものにしていました。
このシステムでは、強く育った仲間ポケモンはもちろん活躍するのですが、育成途中でまだあまり強くないポケモンも「あと少し相手の体力を削る」目的には有効だったりするなど、単純に「強ければ強いほどいい」というわけではない価値の多元化が生まれます。
後に「ポケモン」がシリーズ化していく中で、あまりここの駆け引きやジレンマを発展させる方向には向かっていないので見過ごされがちな要素ですが、これもまた、RPGを非マッチョ的な方向に更新した、ポケモンの発明のひとつと言えるでしょう。
