がん闘病を赤裸々に発信し続けてきた梅宮アンナさん。芸能人が病気を公表した後、多くの場合は沈黙か、あるいは訃報とともに詳細が明かされるケースがほとんどだった。しかし彼女は、治療の経過を「良くても悪くても」逐一発信し続けることを選んだ。公表からまもなく2年を迎える今、その選択は何をもたらしたのか。

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がんを「語ること」が社会を変えた

――公表からもうすぐ2年が経ちます。振り返って、何か変わったと感じることはありますか。

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梅宮アンナ(以下、梅宮) 2024年7月に自分ががんだと正式に知ったあの日から、SNSを見ていると、がんのことを発信する人が明らかに増えた気がします。一般の方も含めて、自分の闘病経験をSNSで語る人がすごく多くなって。アルゴリズムの影響もあるかもしれないけれど、それだけじゃないと思うんですよね。

梅宮アンナさん

 周囲からも「アンナは世の中を変えたと思う」と言ってもらえることがあって。たとえば、明治安田のホールに名前のある人を呼んで300人、400人を満員にするような事例って、今まであったかと言えば、なかったじゃないですか。そういう意味では、少し社会を動かせたのかなとは思っています。

――治療経過を細かく発信し続けた芸能人は、確かにほとんどいませんでした。

梅宮 がんを公表した後って、普通は退院するか、あるいは訃報が出るまで黙っているというパターンが多い。でも私は、「だめでも良くてもやろう」と決めていました。結果がどうなろうと、自分の言葉でちゃんと伝え続ける。それだけは最初から揺らがなかった。

 そこが、他の方の発信とは少し違うのかもしれません。同じようにがんを発信している方もいますが、やっぱりどこか違うと感じる部分があって。うまく言葉にはできないけれど、自分なりのやり方があったと思っています。

「昔の自分に戻ろうとしちゃいけない」

――治療中、精神的につらかった時期はどう乗り越えましたか。

梅宮 治療期間って、どうしても病院という世界の中に閉じ込められる感覚があるんです。その外側、私にとっての「外界」が、SNSで流れてくる普通の日常でした。お正月に旅行している人を見て、「ああ、私もこういうふうに普通にやっていたんだな」と思う瞬間が何度もあって。当たり前だったことが、当たり前じゃなかったんだと気づかされた。

 今は薬だけの生活になって、通院治療の時期から抜け出せたことが本当にありがたくて。感謝しても感謝しきれない、という気持ちがずっとあります。

――「元の自分に戻ろうとするのがつらさの原因」という言葉が印象的でした。

梅宮 ある先生に「昔の自分に戻ろうとしちゃいけない。元に戻ろうとするからつらいんだよ」と言われて、それはすごく胸に刺さりました。頭では分かる。でも、やっぱり戻りたいとも思う。特にビジュアルのことはどうしても気になってしまいます。

 今はウィッグをつけていますが、髪の毛も少しずつ伸びてきていて。昔の毛質に戻るかな、戻らなかったらどうしようって、やっぱり考えてしまうんですよね。

「病人らしくしていたら仕事は来ない」

――体の回復とともに、仕事への向き合い方も変化しましたか。

梅宮 私の美学として、「アンナちゃん、がんなの? がんっぽくないよね」と思ってもらえることがあります。病人らしくしていたら、仕事だって来ない。この人に頼もうと思ってもらうためには、やっぱりそうじゃいけない。

 病気をしているからこそ、ファッショナブルでいることに意味があると思うようになりました。今の流行りの服を着ること、外見に気を使うことが、誰かへのメッセージにもなる気がして。

 

――体の状態は今、どうですか。

梅宮 以前あったしびれや冷えは、だいぶ抜けてきています。多少のむくみによる痛みはあるので、ストレッチをちゃんと続けていかないとと思っています。ズキンとした突然の痛みはもうなくて、全体的にはとても元気です。

 発信を続けてきたことで受け取るDMに、「今日聞かせてもらいました、ありがとうございました」というメッセージが届くことがあります。返信はできていないけれど、1人でもそう思ってくれる人がいるなら、それだけで続ける意味があると感じています。

写真=平松市聖/文藝春秋

 梅宮アンナさんの著書『フルコース』では、10日で入籍した“電撃再婚”の裏側や乳がん闘病、父・梅宮辰夫との“本当の関係”など、これまであまり深く語られることのなかった半生が赤裸々に綴られています。

フルコース がんと私と家族の日々

梅宮 アンナ

文藝春秋

2026年6月10日 発売

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