2015年、ジュフレはアメリカで法的措置に出た。彼女が裁判所に提出した書類では、アンドリュー王子を「性的虐待の加害者」として実名で告発している。それまで王室の圧力で伏せられていた実名が法廷文書として世界中に公開され、SNSや国際メディアで王子が糾弾の対象となった。

 2019年7月、エプスタインが再逮捕され、直後に獄中死したことで、怒りの矛先は「生存している大物」であるアンドリュー王子に向けられた。

 同年11月、彼が疑惑を晴らそうとして受けたBBCのインタビューが「あまりにも無反省で嘘っぽい」として、世界中から嘲笑と怒りの声があがった。この直後、多くの企業や慈善団体が彼との提携を次々と解消し、王室も彼を「公務からの引退」という形で事実上切り捨てた。

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 2022年1月、故エリザベス女王により「名誉軍職」と「殿下」という敬称の使用権がアンドリュー王子からはく奪された。

ジェフリー・エプスタインの隣に、バスローブ姿で写っているアンドリュー元王子(左)/2026年3月13日に米国司法省が提供した写真(撮影日不明) ©AFP=時事

 2025年4月25日、エプスタイン事件の被害者で告発者でもあるジュフレがオーストラリアのバース郊外にある自宅(農場)で亡くなった(享年41 )。死因は自殺であると警察や家族によって発表された。

 2025年10月、チャールズ国王によりアンドリュー王子の「王子(Prince)」や「ヨーク公爵(Duke of York)」などの称号をはく奪する決定が下された。同月17日にアンドリュー本人が称号を「今後使用しない」と表明し、同月30日に国王が称号はく奪の手続きを完了させた。

 この日から彼は王子ではなく、「アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー」という一民間人の名前で呼ばれるようになった。同日、彼はウィンザー城の自宅(ロイヤルロッジ)から退去を命じられた。

 2025年12月13日、アンドリューは最後まで保持していた「海軍中将」の階級も、国王の意向を受けたイギリス政府によってはく奪された。

不気味に光る眼の元王子と国家背信の容疑

 2026年1月30日、ついにエプスタイン文書が開示された。これはアンドリューにとって「過去の性的スキャンダル」を「国家背信の政治的スキャンダル」へと変貌させる致命的な一撃となった。

 が、世界を震撼させたのはそのことではなく、むしろ文書に含まれていた奇怪なイメージだった。それはエプスタインのペドフィリ島で隠し撮りされた連続写真と動画の断片であった。