無人となった高層アパートが連なる“圧巻の光景”

 植物に飲み込まれつつあるアパート群を眺めながら歩いていると、ひときわ大きい建物が見えてきた。

ひときわ巨大な建物が見えてきた

 8階建てのアパートが、道路に沿って横並びに繋がっている。無人となった高層アパートが連なる姿は、圧巻そのものだ。

8階建てのアパートが連なる光景は圧巻そのもの

 このアパート、道路側は建物の裏側にあたり、炭鉱施設に近い反対側が表になる。

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道路の反対側、実はこちらが正面にあたる

 表側は斜面を利用して出入り口が5階にあるという変な造りをしている。これは、8階建てでもエレベーターがなかった当時の建物として、とても考えられた構造だった。

階段での上下動を少なくするため、出入り口が5階に設けられていた

 例えば8階に住んでいても、5階が出入り口だと3階分の移動だけで済む。上下の移動を少しでも減らすための工夫だったのだ。

離島の炭鉱らしい風景
反対側は「御安全に」

 高層アパートからさらに進むと、池島の西端近くに管理されている第2竪坑事務所跡がある。そびえ立つ35メートルの竪坑櫓が圧巻だ。竪坑とは垂直に伸びる坑道のことで、そこにはエレベーターが必須となる。

第2竪坑事務所と竪坑櫓

 竪坑は高層ビルどころではない深さがあり、多くの人員や資機材、トロッコに載った鉱石等を上下させるため、非常に大きな力が必要になる。そのため、エレベーターのワイヤーを巻き上げる竪坑櫓も必然的に巨大になるというわけだ。ちなみに、この第2竪坑の深さは700メートル以上に及ぶ。

第2竪坑事務所の前では女神像“慈海”が安全を守っていた

 ここで折り返し、南側の道を歩いて島を一周する形で港に戻ることにした。炭鉱で亡くなった方の慰霊碑で手を合わせ、多くのアパート群を眺めつつ、海に沿って歩いてゆく。港が近づいてくると、巨大かつメカニックな装置が見えてくる。ジブローダーだ。

2014年当時のジブローダー

 港の周辺には、工程を経て製品となった石炭を運搬船へ積み込むための施設が残っていた。

ジブローダーで集められた石炭はベルトコンベヤーで港へ運ばれていた

 ジブローダーは貯炭場の石炭を集めてベルトコンベヤーに載せるための装置で、港に運ばれた石炭は、シップローダーという装置によって運搬船に積み込まれていた。シップローダーは巨大なクレーンのような形をしており、これまたカッコいい。

コンベヤーで運ばれてきた石炭を船に積み込んでいたシップローダー

 島内の主要な箇所をやや駆け足で回ったが、気がつけば3時間が過ぎていた。外周4キロの島とはいえ、歩けばそれなりに距離があるし、見どころも多いので、半日はほしいところだ。

港のほうまで戻ってきた

 港ショッピングセンターで軽く昼食を済ませ、いよいよ坑内ツアーに参加する。

撮影=鹿取茂雄

次の記事に続く 《残り1年足らずで終わりを迎えてしまう…》軍艦島ではない長崎の“炭鉱の島”だからこそ体験できる「尋常じゃないツアー」に参加してわかった“鉱山の内情”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。