働く中で誰もが味わう「理不尽」を「理論」で明快に解き明かし、「なぜ働くのか?」という問いに徹底的に向き合ったビジネス書『理不尽仕事論 「クソが!!」と思った時に読む本』

 本書の著者、組織開発や人材育成のプロフェッショナルである坂井風太さんが、YouTubeチャンネル『TBS CROSS DIG with Bloomberg』に登場。MCの竹下隆一郎さんとともに、現代の20代、30代が直面している「クォーターライフクライシス」という現象についてお話しします。

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20代に前倒しされる「ミッドエイジクライシス」

『TBS CROSS DIG』CCO・竹下隆一郎さん(以下、竹下) 今回のテーマは「20代で『中年の危機』?」です。一般的に「中年の危機(ミッドエイジクライシス)」といえば、40代や50代が悩むイメージがありますが、最近はこれが20代に前倒しされているそうですね。

坂井風太さん(以下、坂井) そうなんです。「自分はこの会社でこれくらいまで出世して終わるんだろうな」と、40代、50代で人生の有限性や限界が見えてしまうことが元々の「中年の危機」でした。

 ただ、これが今前倒しで起きている。これが「クォーターライフクライシス」です。20代後半から30代前半で同じような虚無感を感じる人が出てきています。

竹下 なぜなのでしょうか? 40代、50代は転職市場でも大変だったりしますが、20代なんて、まだまだ可能性だらけですよね。

『理不尽仕事論 「クソが!!」と思った時に読む本』

坂井 クォーターライフクライシスの原因は大きく3つあります。

 1つ目は、「SNSによる比較範囲の爆発的な拡大」です。昔なら同じ社内の人間と比べて「自分はこれくらいかな」と納得していたものが、X(旧Twitter)やInstagramを開いて他の人の生活を目にすることで、「自分だけが取り残されているのではないか」という不安を感じやすくなってしまうんです。隣の芝生が青く見えるし、近く見える。

 2つ目は、ある意味逆説的ですが、「選択肢が多いから」です。今の時代、一つの会社に勤め上げるのが当たり前ではなくなってきている。だから、「いろいろな選択肢があるのに、この会社に居続けていいのだろうか」「その選択肢を取れていない自分はダメなんじゃないか」と。

 『理不尽仕事論』の帯を書いてくださった三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』でも言及されていますが、哲学者のビョンチョル・ハンの「自己搾取」という概念に近い現象です。「あなたは何でもできる」と言われるからこそ、「もっと働かなきゃ」「もっと上を目指さなきゃ」と自分を追い詰めてしまうんです。

 そして3つ目が、「ネタバレ世代」というキーワードに関わってきます。SNSでいろいろな人の生活が見えるわけですよね。だから「上場したとしても裏側は辛そうだぞ」とか「タワマン住んだらペアローンで大変らしい」と思ってしまう。何を目指していいかも分からないし、目指そうと思った先にある人生も辛そうに見えるから、人生の方向感覚を失って虚無感に陥ってしまうんです。