働く中で誰もが味わう「理不尽」を「理論」で明快に解き明かし、「なぜ働くのか?」という問いに徹底的に向き合ったビジネス書『理不尽仕事論 「クソが!!」と思った時に読む本』

 本書の著者、組織開発や人材育成のプロフェッショナルである坂井風太さんが、YouTubeチャンネル『TBS CROSS DIG with Bloomberg』に登場。MCの竹下隆一郎さんとともに、生成AI時代に本当に求められるリーダーのあり方について議論します。

◆◆◆

ADVERTISEMENT

つまらなそうに目標を語る「虚無ルフィ」

『TBS CROSS DIG』CCO・竹下隆一郎さん(以下、竹下) 今回のテーマは「今だけ・自分だけ思考を脱する方法」です。みなさんの会社や組織の中にも、自分のキャリアや目先の利益ばかりを考えているような利己主義的な人はいないでしょうか? 

 まずは、坂井さんがSNSで発信して大きな反響を呼んだ「虚無ルフィ」というキーワードから掘り下げていきたいと思います。

坂井風太さん(以下、坂井) 組織において「自分たちならばできそうだ」という感覚を生み出すものを「組織効力感」と呼びます。この組織効力感を作るのが明らかに上手いリーダーを観察していると、共通して「楽しそうに目標を語れる」という特徴があるんですね。

『TBS CROSS DIG with Bloomberg』より

 そこで「虚無ルフィ」なのですが、漫画『ONE PIECE』のルフィは、笑顔で熱を込めながら「海賊王に俺はなる!」と言いますよね。本気でそう思っていることが分かります。「リーダーの真正性」や「感情伝染」といった言葉で語られますが、「これを成し遂げられたら嬉しいよね!」というリーダーのポジティブな感情はメンバーに感染していくし、逆につまらなそうに目標を語られると、「じゃあ目指さなくていいのでは?」と思われてしまう。

竹下 「俺、海賊王になりたいと思ってるんだよね。海賊王という状態をKPIで言うと……」(笑)。このルフィについてはどう思いますか?

坂井 数値や可視化されやすいものに置き換えることで、本来の熱量や目的そのものを濾過してしまっているということですよね。自分の気持ちが乗っていない目標に対してメンバーの気持ちを乗せることなんて、基本的には難しいんです。

竹下 なぜ「虚無ルフィ」が生まれるのでしょうか。

『理不尽仕事論 「クソが!!」と思った時に読む本』

坂井 「本質的に事業や顧客に興味がないから」だと私は考えています。ただ、最初から自社の事業やサービスにものすごく興味を持っている人ばかりではないはずです。「漸進的使命感」という概念がありますが、使命感というものはだんだんと作られていくもの。

 例えば、私の前職であるDeNAでも、新卒でゲーム事業部に配属された時点では「ゲームを全くやったことがない」という人もいました。それでもユーザーとしてゲームを触ってコミュニティに入ったり、ユーザーと向き合い接触して「こんなに喜んでいる人がいるんだ」と知ったりすることで、「これは大事だ」「意味がある」と感じられるようになる。最初から興味があったかどうかではなくて、最初に「ハマりにいく」ことを誠実にできるかどうかが、本当は勝負だと思います。