新聞各紙はどうだろう。日経新聞は「多くの国民が国旗を尊重するのは自然なことだが、それを法律で強制すべきかは別の問題だ」と慎重姿勢だ。朝日や毎日は「窮屈な社会が待っていないか」「息苦しい社会にするのか」と警戒する。

産経は「罰則設け日本の名誉守れ」と…

 ストレートなのは産経新聞だ。

「罰則設け日本の名誉守れ」とタイトルで書き、

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《日本の威信と尊厳を守らねばならない》

 と主張している。なるほど、そこに論点があるのかと思う。

 すると先週(5月20日)の朝日新聞の解説が興味深かった。

 自民党内の当初の「国旗損壊罪」検討資料を紹介していたのだ。法律で守る対象(保護法益)として、

(1)国の威信、国民の統合作用

(2)自国国旗を大切に思う一般的な国民の感情

(3)社会秩序の維持

 などが並んでいたという。ところが最終的な骨子案では、(1)と(3)は消え、(2)「一般的な国民の感情」だけが残った。理由は「思想統制のように見られるのはよくないから」だそうだ。

 ここでアッと気づく。

 産経新聞が「日本の威信と尊厳を守れ」と主張していた、その「威信」が自民党内の議論ではすでに消えていたのである。代わりに残ったのが「一般的な国民の感情」だ。「国家の威信」では露骨すぎる。そこで「国民感情」に置き換えたのだろうか。

 しかも記事は、こうも伝える。「国の威信」や「国民の統合作用」といった言葉は消えたが、10年以上前から同じような言葉で国旗損壊罪の創設を訴えてきた人物がいる。

 それが高市首相だ、と。

 高市氏はかつて「自国についての帰属意識・一体感」や「日本の威信・尊厳を象徴する国旗」とブログなどで主張していた(現在は削除)。その高市氏が、今度は「法律論としては弱い」とされた“感情”を、法律の根拠として前面に出しているのである。

 しかも新法の目的は広がっている。自民党は、国旗を傷つけた動画や画像をSNSに投稿する行為まで処罰対象に加える検討を進めているという。国旗を傷つける行為だけでなく、今度は「どんな表現なら許されるのか」にまで線を引こうとしている。