アジアサッカー連盟(AFC)の女子チャンピオンズリーグ決勝が5月23日、ソウル近郊の水原で行われた。北朝鮮のネゴヒャン(我が故郷)女子蹴球団が日テレ・東京ヴェルディベレーザを1―0で下し、見事優勝を果たした。
ネゴヒャンは準決勝でも韓国を撃破し、その圧倒的な強さを十二分に見せつけた。北朝鮮女子サッカーは過去4回ワールドカップ(W杯)に出場し、2027年ブラジル大会の出場も決めている紛れもない強豪だ。
北朝鮮のサッカー事情に詳しい、韓国南北体育交流協会の金慶星理事長はこう明かす。
「北朝鮮の国家代表は、男子も女子も同じ場所で合宿生活を送ります。週末だけ自分が所属するクラブチームに戻ってリーグ戦を戦う。男女で試合をすることもあるほどです」
また、別の脱北者A氏は「朝鮮代表の女子は相手と接触しても簡単には倒れない。闘争心も極めて強く、韓国代表よりも明らかに実力が上回っている」と舌を巻く。
「世界の強国に歯が立たない」男子代表の悲惨な現状
一方、男子はどうか。
北朝鮮男子代表は、6月11日から北中米(米国・カナダ・メキシコ)で開催される男子W杯への出場を逃した。アジア3次予選(最終予選)では、イランやカタールなど6カ国が参加したグループAで「0勝7敗3分」の最下位に沈んだ。世界のサッカー強国に全く歯が立たないのが現状なのだ。
前出の金慶星氏がその背景を解説する。
「マーケットが小さい女子はともかく、世界的に有名な男子のサッカークラブには、みな国際企業がスポンサーでついています。圧倒的な資金力でかなわないうえに、経済制裁によって有望な選手を海外クラブに送り出せないのが大きく響いているのです」
韓国メディアによれば、女子のネゴヒャンは今回のアジア制覇で賞金100万ドルを獲得したが、国連制裁下にあるため北朝鮮への送金はできず、今後の国際試合の経費に充てられるという。
男子にも希望の星がいなかったわけではない。プレースタイルから国内で「人民のロナウド」と呼ばれたFW韓光成(ハン・グァンソン)だ。2017年からイタリア・セリエAのカリアリなどで活躍し、将来を嘱望されていた。
ところが、カタールの強豪アル・ドゥハイルに所属していた2020年当時、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議(海外派遣労働者の送還要求)の対象となり、海外での活躍の場を理不尽に奪われてしまった。韓は今回の北中米大会アジア予選にも出場したが、低迷する代表の救世主にはなれなかった。
