「ジャーク」な時点で優秀なのか?

――周囲にそれほどの悪影響を与え、組織の空気を悪くしているにもかかわらず、なぜ彼らは生き残り、放置されてしまうのですか?

坂井風太さん ©佐藤亘/文藝春秋

坂井 それは上長やその上の経営陣が「この人を外したらプロジェクトが止まるのではないか」「売上が下がるのではないか」という懸念を抱き、彼らの横暴な振る舞いを放任・黙認してしまうからです。「結果さえ出せばいい」「結果を出している人間が偉い」という価値観に染まった会社では、上司でさえも彼らに意見できなくなってしまうんです。 

――実力主義の組織だと、「仕事ができるなら、多少の人間性の問題には目をつぶるべきだ」という声もあるのかもしれません。

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坂井 そもそも「ジャーク」な時点で優秀なのか?と疑問に思いますけどね。企業が設定している「優秀さ」の定義が狭すぎるんですよ。実際のところ、スーパースターを採用するより、有害な行動を取る人物の登用や昇進を1名回避するだけで、業績が2倍上がるという研究結果もあります。だから本当は彼らを外した方が事業は伸びるかもしれないのに、実際には忖度して外せない企業が多すぎるのです。

職場にはびこるブリリアントジャークの対処法

――もし、自分の職場にブリリアントジャークがいた場合、同僚や部下の立場からどのように対処すればいいのでしょうか? 自分の力で相手を変え、改心させることは可能ですか?

坂井風太さん ©佐藤亘/文藝春秋

坂井 同僚や部下の立場で彼らを改心させようとするのは、基本的には無理だと思った方がいいです。証拠を押さえて、人事やさらに上の上司へ「通報」してください。ただ、その訴えかけ方が非常に重要です。絶対に「あの人がいると売上が下がります」といった「損得」を基準にしてはいけません。損得で考えると、経営陣は「でも、今は彼を外さない方が業績的に安全だ」と判断してしまいます。そうではなくて、「善悪」や「美徳」で潰しに行くんです。「我が社は理念として『誠実性』を掲げていますが、誠実性を欠いた行動を繰り返す人を重用するのは、会社として正しい判断なのでしょうか?」と、企業の価値観に直接問いかけるのです。忖度抜きで、そこを突かないと事態は動きません。