ブリリアントジャークを生み出さないために必要なこと
――書籍の中でも扱っていますが、ブリリアントジャークは「ダークトライアド(ナルシシズム、マキャベリズム、サイコパシーという3つのパーソナリティ特性の総称)」とも関連して語られます。これらが元々の性質であるとしたら、こちらからの働きかけには簡単に応じない人も多いのではないでしょうか。そうした人には、どう対応するべきでしょうか?
坂井 もう「メタ認知がバグっている人」というのが存在するんです。周りの人が困っている様子が見えておらず、自分が間違っていると一切認められない人。こういう人は、誰の意見も聞き入れないので、もうマネージャーにしてはいけません。そういう場合は、評価を落とすなりマネージャーから外すなり、「ナタを振るう」しかありません。「あなたはマネージャーには向いていなかったから、専門職としてやってください」と言ってあげればいいんです。多くの企業の問題は、この「外すべき人を外す」という勇気がないことだと思っています。
――ブリリアントジャークにもグラデーションがあり、対処できる人・できない人が存在するということですね。
坂井 本当に事業を成功させたいがためにブリリアントジャークな振る舞いをしている人は、自分を再解釈して「私の行動は間違っていました。ごめんなさい」と言えるのですが、自分をメタで捉え直すことが全くできない人もいる。そういった“真正のブリリアントジャーク”はマネージャーにしてはいけないですよね。
――最後に、企業がこうしたブリリアントジャークを生み出さないために必要なことは何でしょうか。
坂井 根本的な経営哲学として、「誠実性」を中心に置くことです。「ノブレス・オブリージュ(社会的地位の高い者にはそれに伴って果たすべき責任があるとする考え方)」や、権力は他者のために使われるべきだという「公的権力観」を持つ人間がトップにいること。「自分の話を通したいから権力を持ちたい」と考えるような「私的権力観」を持つ人間をリーダーに選んではいけません。そして、誠実性を逸脱した行動を取ったなら、たとえそれが社長であっても注意されるような会社が本当にまともな会社です。

