チャーハン作りといえば「冷やご飯」を使うか、それとも「あたたかいご飯」を使うかが大きな分かれ目だ。実際のところ、プロはどのようにしているのか。人気料理研究家・樋口直哉氏の新著『日本の定番料理10の謎 ポテトサラダはなぜ「おかず」になったのか』(NHK出版)から、一部抜粋してお届けする。

料理研究家が明かす「チャーハン作りの結論」 ©years/イメージマート

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プロの炒飯は「冷やご飯」と「あたたかいご飯」のどちらを使うのか?

 じつはパラパラチャーハンを作るために必要な調理条件は明らかになっていません。米の含水率やデンプンの糊化度、油の表面張力やタンパク質(例えば卵)の熱変性速度といった条件に加え、鍋のなかで米粒が動いているわけで、変数が非常に多いために研究するのが難しく、そもそも「パラパラ」がどんな状態なのか、それがおいしさにどうつながっているのかを定義するのが困難だからです。

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 油を入れた鍋のなかで米の水分を飛ばしていけばいつかは「パラパラ」になるでしょうが、それだけではパサパサしておいしくありません。「しっとり派」が存在するくらいなので、どのくらい水分を残すかは好みの世界です。

 チャーハンという料理が難しいのはそれだけ求められる理想が人によって異なるからです。チャーハンについて考える前に基本とされる作り方を押さえておきましょう。

 何をもって基本とするのか、というのもまた議論されるテーマだとは思いますが、東京・千駄ケ谷にある、僕の母校でもある調理師養成施設、服部栄養専門学校のチャーハンの作り方は、

中華鍋を充分に熱し、油を馴染ませる → 油壺に余分な油を戻し、新しい油を足し、溶き卵を加える → ご飯を加え、ひっくり返し、お玉の背でほぐしながら炒める → 塩、こしょうで味を調え、仕上げに長ねぎのみじん切りを加える。

 というものでした。調理師学校によってはしょうゆやうま味調味料を入れるところがあったり、調味の前に長ねぎのみじん切りを投入するところもありますが、基本的な作り方は同じで、多くの学校で中国料理の試験課題になっています。

 チャーハン作りを通して、上手に炒め上げられていれば合格で、卵とご飯が焦げていれば不合格という具合に鍋振りや卵を焦がさないよう炒める技術が養われるからです。