パラパラなチャーハンを作るなら、冷やご飯とホカホカご飯、どっちがいいの? 鍋は振った方がいい? 火力は強い方がやっぱりいい? 人気料理研究家・樋口直哉氏の新著『日本の定番料理10の謎 ポテトサラダはなぜ「おかず」になったのか』(NHK出版)から、一部抜粋してお届けする。

プロが明かす、家庭でパラパラチャーハンを作るコツとは? ©baking/イメージマート

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おいしいチャーハンと火力は無関係?

「プロのキッチンと家庭では火力がちがうのでお店のようなチャーハンは作れない」という意見もあります。たしかに業務用と家庭用のコンロでは4倍近い火力差があります。

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 さらに家庭用のガスコンロには火災事故を防止するためのSiセンサーという安全機構の設置が義務付けられているので、フライパンの底面温度が一定を超えると弱火になる仕組みが搭載されています。ただでさえ火力差があるのに、その影響もあって「家のコンロは火力が弱い」という印象につながるのでしょう。

 しかし、よく考えてみてください。卵を炒めるのにそれほど高い温度が必要でしょうか? 卵を加熱する場合、高温は必要なく、むしろ強すぎると卵が焦げる=調理師学校なら不合格になります。

 そもそも炒め物に必要な鍋の表面温度は230~250℃といったところ。家庭用のガスコンロでもその温度には到達しますが、業務用のコンロの場合は火力が強いので、ご飯を入れてからは焦がさないように鍋を振って温度を調整するのです。

 鍋を振ることで鍋肌の温度をコントロールしていることはあまり知られていない印象があります。香港には底面の広い広東鍋を一切振らずに、短時間でチャーハンを仕上げるテクニックもありますが、鍋の温度を上げたければ振らないほうが有利なわけで、それでも鍋を振るのには理由がある、ということです。

 なぜ、プロのキッチンでは高火力のコンロが必要なのでしょうか。火力が高ければ予熱時間が短くなり、たくさんの料理を提供することができますし、例えば30Lの湯を沸かすという時も有利です。

 なにより火力が強いと加熱中の鍋肌の表面温度の低下が防げる、というメリットが大きいでしょう。例えばほとんどが水分である野菜を鍋に投入すると、それだけで鍋の温度が下がります。高火力のコンロであればすぐに回復しますが、家庭のように火力が低いコンロではなかなか温度が戻らず、結果として加熱時間が長くなったり、水分が蒸発しなかったりします。

 つまり、家庭用コンロでは火力が弱すぎて、お店の味は出せない、あるいはご飯がパラパラにならない、という言い方は一面では正しく、一面では間違っているわけです。