山崎隆之九段の“唯一の弟子”として
――人気と実力を兼ね備えた棋士でもある、山崎隆之九段の唯一のお弟子さんとしても注目を集めていますね。弟子入りのいきさつを教えて下さい。
磯谷 滋賀の長浜支部で子ども向けの将棋教室が開かれていて、私が小学生の頃、母は2時間以上かけて運転して連れて行ってくれていました。そこに山崎先生が教えに来てくれていたんです。
岐阜には棋士に定期的に教えてもらえる教室は、当時なかったと思います。当時の私はグイグイいくところがあって、山崎先生に「連絡先を教えてください」と言っていました。
――人見知りとおっしゃっていましたが、お話しできるようになった相手だとグイグイいくこともあるのですね。
磯谷 そうですね。研修会でクラスが上がると、山崎先生に電話で報告したり、メールしたりしていました。山崎先生は私のメールに返信してくださり、励ましてくれましたね。
私は奨励会に入って棋士になりたいと思っていたので、師匠が必要になりました。そこで、中1の時に山崎先生にお願いしました。
東海地方では杉本先生(昌隆八段)や、澤田先生(真吾七段)、中田先生(章道七段)に弟子入りする方が多いのですが、私が一番お世話になっているのは山崎先生だから、それが自然だと思って。
――山崎先生は弟子をとらない方ですよね。それでも引き受けてくれたのでしょうか?
磯谷 最初は断られました。当時の山崎先生は30代でしたし、自分はまだ師匠になるのは早いという感じでした。(山崎九段の師匠の)森信雄先生(七段)ならたくさん弟子もいるからと、森門下を勧められました。
そこを「いや、山崎先生しかいないです!」と電話で説得しました。
――親御さんではなく中1の磯谷先生が一生懸命頼んだのが良かったのでしょうね。晴れて山崎門下となったわけですが、奨励会試験は厳しかったのでしょうか。
磯谷 中1と中2では試験に落ちました。両方とも1次試験で1、2勝しかできず、2次試験に進むことができませんでした。当時の1次試験は、2日間で最大6局を戦い、4勝通過3敗失格だったと思います。
――中3の時に中学生選抜の全国大会(全国中学生選抜将棋選手権。男子、女子に分けて行われる)女子の部で優勝して、奨励会試験1次試験免除の権利を獲得しています。
磯谷 権利を行使して再受験しました。2次試験は奨励会例会の日にあわせて行われ、現役奨励会員と3戦して1回勝てば合格です。
1次試験は体力的にも大変だったので、もともと優勝して免除になればと思っていました。無事に権利を生かして、その年に合格することができました。




