まだまだ研究会は増やしていきたい

磯谷 そう言われたこともありますけれど、永瀬先生には全く及ばないです。永瀬先生は研究会以外の時間もずっと将棋の勉強をされているのではないかと思います。

 私は研究会が終わって、「疲れたな」とベッドでスマホをいじっていたら何時間も過ぎていたようなこともあって、まだまだ甘いです。

 以前は月20日くらい研究会をしていたのですが、公式戦が増えたこともあって減ってしまい、最近は10日くらいです。でも、また増やしたい。15日か、できれば20日できたら幸せです。

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©︎文藝春秋/杉山秀樹

――有言実行ぶりが格好いいです。たとえば「自信がない」とか、マイナスのことは言わないようにしているのでしょうか。

磯谷 はい。女流棋士になった直後の2023年10月に、竹部さゆり女流四段に白玲戦D級で負けた対局がありました。竹部先生は何でもうまく指されて何を指してくるか分からず、やりにくいところがあって、苦手意識がありました。

 その負けから3か月後の女流王将戦の予選で、また竹部先生との対局が決まったときに、私は「厳しいです」と口にしてしまったんです。

 そうしたら、竹部戦に負けたうえに、加藤女流四段、井道千尋女流二段、鎌田美礼女流2級にも負けて4連敗してしまい……。弱気なことを言ってはダメなんだと後悔して、それからは前向きなことしか言わないと決めました。女流棋士になってから、4連敗したのはその一度だけです。

戦法の拡充が好成績に結び付いた

――鎌田女流2級戦は白玲戦D級で、C級昇級が絶望になってしまいました。しかし、その後は2連敗がごくたまにあるくらいで、3連敗はゼロという勝ちっぷりです。2025年度は勝率0.825と全女流棋士中1位の成績でした。なぜ好成績を達成できたと思いますか?

磯谷 女流棋士になりたての頃は、早指しで時間を残して負けることがありました。でも、それはいい負け方ではない。まだ考える余地があるのに、考えずに負けてしまうからです。今では、そういう負け方は無くなりましたし、良くなっても油断せず、立ち止まって考えられるようになったのも、勝率に結び付いたと思います。

 あとは、戦法も大きいです。デビューしてしばらくは、指せる戦法が限られていました。対振り飛車には右玉しかなく、相居飛車も雁木と一手損角換わりしか指せない。相手から見ると対策しやすかったと思います。それで使える作戦、指せる戦法を増やしました。

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 最初は相居飛車の戦法の幅を増やすのは難しいと思っていたのですが、もともとは振り飛車党だと思っていた北村桂香女流二段、石本さくら女流二段が、相居飛車を指しこなしているのを見て衝撃を受けたんです。

 2人とも私より年上で、それでも新しく勉強して戦法の幅を広げている。見習わないといけない、と。