――アスリートの事情に理解がある人でないとやはり難しいんですね。
吉田 というより、「理解してもらおうとすること」という考え方自体が違うのかなと思うようになりました。「カーリングのために世界中を転々とするのを理解して」と言っても、それが相手に我慢になってしまったらたぶん続かないですよね。そうではなくて、離れている時間をお互いの活動時間として自然に楽しめる人じゃないと難しいのかなと。
彼は遠くにいる時も「マッターホルンが綺麗だよ」とか動画を送ってきたり、その距離感が心地よかったんです。
――吉田さんの中で「この人と結婚しよう」と思った決定的なきっかけはあったんですか?
吉田 彼の家族が本当に仲が良くて、両親やきょうだいとの人としての接し方などもいいなと感じていました。「お兄ちゃんは歴史に強くて、こういう話がすごく面白いんだよ」、「お母さんの作る炊き込みご飯がすごい美味しい」、「お父さんは土建屋もやってたから家の修理をさせたらすごい」とか。
――日本人には珍しいタイプかもしれませんね。
吉田 実はそれまで結婚願望が強い方ではなかったんですけど、彼が身近な人を自然に褒める姿を見て「あ、この人と家族になったとしても、お互いの存在を雑に扱ったりせずに一人の人としての境界線を大切にできるかもしれないな。この人と家族になりたいな」と思ったんですよね。私の中の「家族」のイメージが変わって。
――プロポーズは、どちらから?
吉田 友達にしか言ったことなくて恥ずかしいんですけど、私からでした(笑)。つきあいはじめて1年くらいの時に、羽田空港の搭乗口の前でした。
「あのさ……結婚しよっか。じゃあね!」
――どんな状況だったんですか?
吉田 東京の仕事が終わって私が北海道に帰る日に、彼が羽田まで車で送ってくれたんです。飛行機の時間が近づいてきて、もうすぐ私はゲートを通らなきゃいけない。その別れ際にふと「あ、今言っておこう」と思いついて、「あのさ……結婚しよっか。じゃあね!」って。
――思いついてその場で。
吉田 はい(笑)。夫もその場で「そうだね、結婚しようか」と言ってくれたんですが、すぐフライトの時間だったので保安検査場を通って、女満別行きの飛行機に乗っちゃいました。でも後で聞いたら、彼としては「一生に一度の言葉をちなに先に言わせてしまった」という負い目があったみたいで。
――わかる気はします。
吉田 それで私はカナダでグランドスラムという大きな大会に出て、1カ月後に日本に帰ってきたら、彼が成田空港で大きな花束を持って出迎えてくれて。「前回は俺から言えてなかったから、改めて。結婚しよう」と言ってくれました。私が羽田で言って、彼に成田で言ってもらって、どっちも空港がプロポーズの場所でした。
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