横にいるご主人の目は泳いでいるという場面

 もちろん現金主義で本当に使ったことがない人もいるのかもしれないが、この時代、なかなかそういう人は希少である。これがまだ成人したばかりの若者ならわからないこともないが、いい年こいたオヤジが一度もカードをつくったことがないなんてことになれば、銀行は「借りなかった」のではなく「借りることができなかった」のではないかという疑いを持ち、審査に不利に働くこともある。

 ちなみに審査落ちしたときに、お客さまからその理由を聞かれても、表向きは「銀行は住宅メーカーの人間には教えてくれません」ということになっているが、つきあいの長い銀行員になると、「ちょっと昔の延滞が出てまして……」とか、「いやぁ、まぁ……そういうことです」と、実際には大まかに教えてもらえることも多い。銀行員のいう「そういうこと」というのは、隠語というほど大げさなものではないが、「金融事故」ということである。

 それと、お客さまが住宅ローン審査申込書記入時に「他社借入」というものを記載する項目がある。住宅営業マンが「ほかの銀行やクレジットカード、消費者金融も入れて借入という借入はすべてご記入ください」とご夫婦にいったときに、奥さまは「さすがに消費者金融はねぇ」と、そんなものあるはずがないといったくらいの勢いで薄ら笑いを浮かべるも、横にいるご主人の目は泳いでいるという場面に出くわすことがある。

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©graphica/イメージマート

 そして、ご主人のほうは「何も今日じゃなくてもいいんじゃないか」という逃げの姿勢に入る。もう、こうなるといやな予感しかしない。こういった場合、たいがい奥さまに内緒の借金を消費者金融でつまんでいることが多いのである。私の消費者金融時代にも自社の債務者リストに意外と思われる知人を何人も発見した経験がある。人の懐事情とは本当にわからないものなのだ。

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