憧れの「自由設計」でマイホームを建てたいと住宅展示場を訪れても、予算が足りない客は少なくない。そんな客に対し、住宅営業マンは「規格住宅」という選択肢を巧妙に勧めてくる。ただし、営業所の裏側でその規格住宅を「ボンビースペシャル」と呼んでいることも……。
ここでは、住宅メーカーに勤務経験がある屋敷康蔵氏の著書『住宅業界ぶっちゃけ話』(清談社Publico)の一部を抜粋。住宅営業の裏側に迫る。
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予算のないお客さまには「ボンビースペシャル」
住宅展示場に来るお客さまの多くは、「注文住宅」「自由設計」という触れ込みに対し、なんの疑いも持たず、足を運んでくる。受け入れる側の住宅メーカーも、もちろん「自由設計」が主力商品ではあるものの、すべてのお客さまがその「自由設計」という主力商品を購入することができるかというと、決してそうではない。
これは単純に「予算」との兼ね合いによるもの。自己資金を潤沢に持ち合わせていたり、銀行からも販売価格に対して十分な融資を受けられたりするお客さまは問題ないが、決してそんなお客さまばかりではない。銀行から融資は受けられるものの、「自由設計」の商品を購入できるほどは借りられないというお客さまもいるのだ。
しかし、住宅業界も、それなら「はい、サヨナラ」というわけにはいかない。だから、そういった場合に備え、二の手、三の手を考えている。多くの住宅メーカーは、そんな「自由設計」という花形商品を購入することができないお客さまのために、「規格住宅」というものを用意しているケースが多い。これは、すでにできあがっている数十パターンある設計図面の建物を敷地の形状に合わせて「選んで」もらう建物のことをいう。
もちろん間取りや外観は決まっているので、お客さまの好きなように部屋の数や広さや位置はいっさい変えることはできない(会社によって東西反転は可能)。そして低予算のお客さま向けの「規格住宅」は、全体のコストを抑えるために内部の設備(キッチン、ユニットバス、サッシ類)が自由設計の建物よりグレードが低くなっている場合も多い。
