タイトル通算6期、史上4人目の竜王・名人。トップ棋士として確かな実績を積み重ねてきた豊島将之九段(36)。昨年度、銀河戦の決勝では藤井聡太竜王・名人を破り、6年ぶり2度目の優勝を果たした。

 来年で棋士人生20年という節目を迎える豊島九段。次世代を担う弟子への眼差し、しのぎを削るライバルたちの存在、そしてタイトル挑戦への思い——。静かに燃える強者の胸中を聞いた。(全3回の3回目/最初から読む

豊島将之九段 ©︎細田忠/文藝春秋

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師匠からの恩を次の世代に

――師匠になってみて改めて分かったこと、感じたことなどはありますか。

豊島将之九段(以下、豊島) 自分の時代とは当然変わっていますね。奨励会の弟子も終盤に光るものがあると感じるし、序中盤も形になっているようには見えますが、それでもどんどん上がっていくという感じではまだありません。

 やっぱり全体のレベルが上がっています。自分が6級の時は今思うと滅茶苦茶な将棋を指していました。

――お弟子さんにどういう棋士、女流棋士になってもらいたいというのはありますか。

豊島 奨励会の弟子についてはとにかく修行して何とか棋士になって欲しい、まずは実力をつけて欲しいです。岩佐(美帆子女流初段)は女流だと普及の仕事もありますし、どういうバランスでやっていくかは大変でしょう。

 どうなって欲しいというのは難しいですが、本人の意思が大事なので、その時その時に自分ができることをしてあげたいと思います。自分が師匠にしてもらったこととは違うことになるのかもしれませんが、師匠からの恩を次の世代に返していきたいですね。

将棋界のかじ取りというテーマ

――現在の女流棋界は福間香奈女流五冠と西山朋佳女流三冠という2強の構図がはっきりしています。

豊島 トップの2人だけでなく、全体のレベルも上がっています。新しい方が女流棋士になって、どの方も結構しっかりした将棋を指されている。その中で勝ち上がっていくのは大変です。いきなり打倒2強を考えると気が遠くなってしまうので1つずつステップを重ねて行って欲しいですね。

©︎細田忠/文藝春秋

――師匠として後進の育成以外だと、将棋界のかじ取り役を担うというのもいずれ、豊島さんの世代におけるテーマになりそうですが。最近だと同世代の糸谷さん(哲郎九段)が理事の重職にも関わらず、名人戦七番勝負に登場されました。

豊島 自分に置き換えて考えると、本当にすごいことだなと。糸谷さんは特殊なタイプというか、忙しくなると力を発揮するというか。自分の感覚だと計れないイメージはあります。