人間は、かくも簡単に死んでしまうのか――事件・事故で亡くなった死体や、死因が分からない「異状死体」を解剖し、身元確認や死因の究明を行う「法解剖医」の飯野守男氏は、これまでさまざまなケースを見聞きしてきたという。

 同氏の著書『法医学教授が教えている 死体の授業』(飛鳥新社)から、フライドポテトの食べ過ぎによって亡くなってしまった少年のケースをお届けする。

画像はイメージ ©hanasaki/イメージマート

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少年はなぜ「フライドポテト」によって、死に追い込まれたのか

「嘔吐が止まらない」と訴える中学生の男子が病院へかけ込みました。お腹の調子が悪いのだろうとの判断から整腸剤を処方され、帰宅しましたがその直後に少年は死亡。解剖によって判明した死因は、「ハンバーガーチェーン店のフライドポテト」によるものでした。

 子どもの死は原因がなにであっても痛ましいものですが、とりわけ個人的に印象に残っているのが「ハンバーガーチェーン店のポテトが原因で死にいたった少年」のケースです。

 嘔吐で病院にかけ込み、整腸剤を処方されたけれども、死亡してしまった中学生男子。若く既往歴もない少年の突然死の原因を明らかにするため、解剖を行ったところ、衝撃的な事実が明らかになりました。

 少年の死体を解剖して胃を切り開いたところ、まず胃全体が異常に大きくなっていました。さらに拡大した胃が腸を圧迫し、骨盤の狭い空間に小腸の一部がググッと入り込んだ結果、小腸が壊死(えし)して黒く変色していたのです。

 小腸は通常、食べ物を消化して通過させるトンネルのような役割を果たす器官ですが、この腸が穴にはまり込んだ結果、トンネルが狭くなり、食べたものが通過できなくなります。食欲低下、お腹の張り、吐き気、嘔吐などの症状を引き起こすこの状態は医学的に「腸閉塞」と呼ばれています。

 では、なぜ少年は腸閉塞を起こしてしまったのか? 原因は生前の彼の家庭環境にありました。