残忍な殺人事件では、隠ぺいするために死体を「コンクリ詰め」することがある。しかし、法解剖医の飯野守男氏は、このコンクリ詰めについて「むしろ逆効果」と語る。
いったいなぜなのか。そして、コンクリ詰めされた死体はどのように変化していくのか。同氏の著書『法医学教授が教えている 死体の授業』から、一部抜粋してお届けする。
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死体のコンクリート詰めは隠蔽方法としては「むしろ逆効果」
1989年、埼玉県の路上で女子高生が見知らぬ少年たちに拉致され、集団リンチを受けた末に殺害され、コンクリート詰めにされて、東京湾の埋立地に遺棄される事件が起きました。「戦後最悪の少年犯罪」と呼ばれた、女子高生コンクリート詰め殺人事件です。
2012年には、兵庫県の貸倉庫からドラム缶にコンクリート詰めにされた遺体が発見され、のちに「尼崎連続変死事件」として主犯格だった60代女性とその親族が逮捕されています。愛知県在住だった40代女性が東京で行方不明となり、2年後の2023年に秋田市の雑木林で、コンクリート詰めにされた状態で発見された事件もありました。
どれも痛ましい事件ですが、科学的な目を向けてみることにします。
人を殺した人間が犯罪を隠蔽しようとしたとき、最も犯人の頭を悩ますのは「死体をどう隠せばいいのか」です。日本では、なぜだか数年に一度、コンクリート詰めの死体が発見される事件が起きていますが、それも加害者側が「これなら隠しとおせるはず」と考えての行動なのでしょう。
しかし、死体をコンクリート詰めにする方法は、隠蔽という意図を考えるならばむしろ逆効果です。なぜなら、コンクリート詰めにされた死体は、外界と遮断された状態のまま保たれるため、保存状態がよくなり、骨やDNAなど身元確認に役立つ情報が発見しやすくなるからです。
