クインシーがマイケルに与えたもの

 50年代からジャズの世界で頭角を現し、やがて60年代以降はプロデューサーとしてポップ音楽の世界でも多彩なヒット曲を生み出してきた大物。クインシーがマイケルに授けた最大の教えは「ポップ、ロック、ソウル、ジャズ、クラシック。すべての壁を取り払え」というものだった。それを具体化したのが「ビート・イット」でのエディ・ヴァン・ヘイレンのギター・ソロであり、「ガール・イズ・マイン」でのポール・マッカートニーとのデュエット。それらがマイケルの音楽性にさらなる広がりをもたらした。

 さらに、映画音楽の作曲家としても超一流だったクインシーはマイケルの曲作りに“物語性”を導入した。「ビリー・ジーン」の長い長いドラム・イントロも、「スリラー」の冒頭の効果音も、こうした聞き手の想像力を刺激するシアトリカルな要素はクインシーからの影響のひとつとして見逃せないものだ。

 幼いころ、マイケルの肉体と衝動の基礎を作り上げたのがジャッキー・ウィルソンやジェイムス・ブラウン。成長の途上、マイケルの知性とストーリーテラーとしての深みを完成へと導いたのがクインシー・ジョーンズ。と、そんな感じだろうか。こうした偉大な先達からの影響を天性の柔軟さをもって吸収しながら、“キング・オブ・ポップ”の座を我が物にしたのがマイケル・ジャクソンだった。

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