多くの占い師にとって館は活動の入口です。無名の占い師は、看板の力を借りて鑑定経験を積みます。予約管理や会計、場所の提供などは館側が行うため、鑑定そのものに集中できます。
その代わり、売上の一部は館に支払うことになります。条件は館によってさまざまですが、占い師として駆け出しの時期ほど取り分は少なく、名前が知られるようになっても、一定の割合が差し引かれる構造は変わりません。
私の知っている館では、売上の3割前後を支払っていました。衣装や道具などはもちろん自腹のため、細かい演出にもこだわると、手元に残る金額はさらに減ります。
また、館はあくまでビジネスです。館によっては、鑑定料とは別に開運グッズの販売を求められることもあります。パワーストーンやお守りをどれだけ売ったかというノルマが課されることもあり、どれだけ数字を出せるかによって占い師は評価されます。
もちろん、こうした販売行為に抵抗を感じる占い師もいます。高額な鑑定料を請求せず、不安につけ込むような言い回しも使えず、開運グッズやパワーストーンを勧めること自体ためらう。
こういう占い師は、一生「稼ぐ占い師」にはなれません。
一方で、占い師として安定して稼げているのは、「どう売るか」「どう見せるか」だけを追求した手段を選ばない人たちです。
これが、占い師として過ごした10年間で私が見たこの業界の実態でした。
稼げる占い師は倫理観を捨てている
良識ある占い師であれば、相談者の心の隙間に入り込んで不安を煽るような鑑定はしません。傾聴に徹し、相談者の心に寄り添い、これからどうしていくべきかを考え、そのほんの少しの手助けに対価をいただく。それが本来の姿でしょう。
だから、占い師は、最初の短時間で相談者が「何を求めているのか」見極めないといけません。表情やしぐさ、服装やアクセサリー、言葉の選び方や反応などの観察力が求められる仕事でもあります。
ところが、一部の占い師は、このような良識を捨て、観察力を悪利用します。彼らは、何の根拠もない占いが相談者側に影響を及ぼすという発想を、ほとんど持っていません。
占った結果が外れてしまった場合、どうするか。
占いが外れた原因を、相談者のせいにします。
「努力が足りないから、(占いが)当たらなかったのよ」
「あなたの運気を下げている人間が周りにいるかも」
そんな言葉で、占いの結果を相談者に転嫁するのです。