街の片隅にぽつんと座る、昔ながらの「易者」。金儲けとは無縁そうに見える彼らだが、実は背後に巨大な組織的詐欺が隠されているケースもあるのだとか。いったいどういうことなのか。
業界の内部を知るまねまね氏の著書『占い師ぶっちゃけ話』(清談社Publico)の一部を抜粋。占い師を隠れ蓑にした詐欺師が起こした悪徳事件のあらましを紹介する。
◆◆◆
町中に佇む占い師の本当にヤバい正体
多額の被害が出ているのは、投資や株に関する詐欺だけではありません。実は、街中の歩道の端にぽつんと座っている、金儲けとは無縁そうな冴えない占い師。彼らによって、深刻な被害が生じているケースがあるのです。
歩道の隅に小さな丸椅子とテーブルを置き、細い木の棒をじゃらじゃらと鳴らして占う、どこか時代遅れにも見える占い師。
彼らは、古代中国の書物で五経の一つ、易経に基づく占いを行う「易者」と呼ばれる占い師です。
最近ではその姿もずいぶん減り、漫画やドラマでは見たことがあっても、実物を目にしたことがない人は多いかもしれません。仮に見かけても、彼らが積極的に通行人へ声をかけることはないので、存在に気づかないまま通り過ぎてしまう人も少なくないでしょう。
なぜなら、彼らには最初から狙っているターゲットがいるからです。そのターゲットが通る場所を選び、「その人」が目の前を通った瞬間に声をかけるのです。
「あなた、死相が出ていますよ」
ほとんどの人は不審に思って無視するでしょう。
けれども、ターゲットは振り向いてしまいます。なぜなら、そのときの彼らは、占いにでもすがらなければやっていられないほどの大きな悩みを抱えているからです。
「あなた、死相が出ていますよ」と声をかけられ…
ここから、実際に私が人から聞いたあるケースを紹介しましょう。
その女性には夫と息子がいて、幸せに暮らしていました。しかしあるとき、息子が重い病気にかかったことで、幸せな日々は一変します。治療は思うようにいかず、病院と自宅を往復する日々。先の見えない不安に、心身ともに追い詰められていきました。
ある日、疲れ果てた状態で自宅へ向かって歩いているとき、易者に声をかけられます。
「何かありましたか? あなた、死相が出ていますよ」
普段なら怪しいと無視できたでしょうが、不安と看病の日々に疲れ果て誰かに思いを吐き出したかった女性は、つい立ち止まってしまいます。
