電話占いにAI占い……多様化する占いの手法
ここまで見てきた占いでは、どんな形であれ占い師という人間が介在していました。が、占いの世界にはそもそも占い師がいないこともあります。
わかりやすい例の一つが電話占いです。電話占いとは、相談者が専用の番号に電話をかけ、通話しながら占いを受けるサービスです。
多くの場合、事前に会員登録をし、通話料とは別に「1分あたり〇円」という形で料金が発生します。対面鑑定のように「一枠何分で〇円」と決まっていないので、相談者が自分で通話を切らない限り、料金が積み上がっていきます。
そのため、電話占いは、無駄に通話時間を引き延ばそうとする傾向があります。
核心に触れそうで触れない言い回しを使い、時には占い師が一方的に喋り続けることで、不必要に会話を引き延ばすよう、上から指示が出ているケースもあるそうです。
この電話占いのシステムと大変似通ったコンテンツが昔ありました。「テレクラ(テレフォンクラブ)」です。
当時を知る人に話を聞きましたが、電話占いの多くは、元々テレクラや出会い系サイトを運営していた業者(多くは反社会的勢力)が母体だったそうです。
1990年代後半から2000年代前半にかけて、テレクラや出会い系サイトの取り締まりが強化され、市場は急速に縮小。通話課金のしくみやオペレーター、待機システムといった設備が行き場を失いました。
困った業者は、当時ブームだった「占い」という看板に目を付けます。看板さえ付け替えれば、既存のシステムや人材をそのまま流用できることに気づいたのです。
業者はテレクラで雇われていたバイトたちに占いの本と簡単なマニュアルを渡し、急ごしらえで電話占いサービスを始めました。
つまり、電話の向こうにいる多くは元テレクラのサクラで、もちろん占い師ではありません。鑑定対応にはマニュアルがあり、鑑定はあらかじめ用意されたテンプレートに沿って進められます。電話越しで顔が見えないのをいいことに、全くの素人が占いの本やマニュアルを片手に対応しているのです。
当時、電話占いのアルバイトをしていた方と話したことがありますが、「細木数子の本をめくりながら電話していた」と言っていました。それでも相談者からは「当たっている」と喜ばれて不思議な気持ちになったそうです。
さらに進んだ例として、占い業界に増えているのが、AIを使った文面鑑定です。
生年月日を入力し、有名占い師の名前を入れて「~っぽく占って」と指示するだけで、それらしい鑑定文をAIが一瞬で自動生成してくれます。
こうして作られた文章を「メール鑑定」や「LINE鑑定」と称して、1通あたり1000円~5000円で販売するという手口です。
価格も安すぎず高すぎず、「一度くらいなら試してもいいかも」と思わせる絶妙な設定です。元手はほぼゼロのため、ノーリスクで始められる副業として近年人気があります。
さらに、そのやり方を、稼げる占い副業として情報商材化し、別の人に売ることもできます。
低額で占いを消費する人たちにとって、誰が占っているのかは重要ではないことを逆手にとった量産型占い。
今や占い師としての表現も、AIで簡単にできるのです。