年齢を重ねるにつれて水分も張りも失っていく私たちの身体。鏡を見るたび「どこもかしこもシワシワ…⋯」とため息をつきつつも、阿川佐和子さんは「抗わず、平等に老いていくのが健全」と笑顔で受け入れる。
40歳にさしかかったあたりから直面してきたリアルな老いのショックを、最新刊『年とる力』(文春新書)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/続きを読む)
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「乱視は目のシワ」
「乱視は目のシワ」とおっしゃったのは、解剖学者の養老孟司さんです。50代の始め頃、養老さんにお会いしたとき、
「最近、視力が落ちて。どうやら老眼になったようで。最初は近くのものがぼやけていたんですが、だんだん遠くのものも焦点が合わなくなって」
と吐露したところ、
「それは角膜が老化したんでしょう。乱視は目のシワですから」
ボソッと言われて、それこそ目からウロコが落ちました。
そうか、目にもシワが寄るのか……。
シワというものは、身体の表面に現れるものとばかり思っていましたが、どうやら身体の内部もシワシワになるらしいことを初めて思い知りました。
でも考えてみれば当然のこと。歳を重ねるに従って、身体は水分も張りも失っていき、全体的に縮んでいくのですから。骨と骨の間の軟骨がすり減るだけではなく、内臓も筋肉も少しずつ縮んでいけば、同様にそれらを守るために必死で突っ張っていたさまざまな膜に余りが出て、そこがシワとなって現れるのでしょう。
