台本通りに演じられなかったワケ「母としての意地みたいなもの」

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——以前のインタビューで、役を引き受ける際には「やりたい」「やるべき」「やらなきゃいけない気がする」の3つにカテゴライズされるとお話しされていました。第一子出産後に映画『八日目の蟬』のオファーを受けて、不倫相手の娘を誘拐して“母親”として育てるという役に「やらなきゃいけない気がする」と感じたと。今回はどの感覚に近かったのでしょうか?

永作 「その勇気を応援したい」と思いました。その3つなら「やるべき」が近いかな。こんな大きなチャレンジに答えられるか不安はありながらも、自分なりに納得できるお母さん像にスポットを当てられたらいいな、というたくさんの感情が入り混じった希望を持って現場に入りました。

——永作さんは二人のお子さんを育てています。子育ての経験は今回の演技の助けになりましたか?

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永作 とてもなりましたね。周りにいっぱいサンプルもいるので(笑)。ただ、みなとが陥る「空の巣症候群」に関してはまだ経験したことがなく、子どもの独立後に喪失感を抱いている人を知っているな、くらいの知識だったので勉強しました。お母さんって頑張りすぎてしまうから、自分が疲れているとかはどうしても後回しになっちゃいますよね。だから空の巣症候群になっていてもすぐには分からなくて、「あれ、なんか変だぞ」って、随分時間が経ってから不調に気づくことが多いのかもしれませんよね。

『時すでにおスシ!?』の6話では、会社の寮に入る息子・渚が体調を崩し、実家で療養することになり、世話を焼こうとするみなとを拒絶。自身に向けられてきた母の「期待」を呪いのように感じていたと本音をぶつけるシーンが描かれた。

——6話の親子喧嘩はSNSでも話題になりましたね。

永作 息子に思いがけないことを急に言われると、母親はやっぱりショックなんだな、と改めて思いました。放送後は「母の気持ちはもちろんなんですが、渚の気持ちがわかる。私もあぁいう状態だった」とか「私も言ったことある」とか、そういうリアルな反応に驚きました。親も子も、大変なのは一緒なんですね。だから一緒に時間を重ねていくんですね。そりゃそうですよね。双方初めてなんですから。でも、そんな正解のない日常を、視聴者の皆さんに客観的に見てもらえる機会になれて良かったです。

 子どもって成長すればするほどに、親である自分自身を映す鏡になっていきませんか。「似ないといいな」と思っていたところほど、ほぼ似ちゃう(笑)。自分のダメなところを突きつけられてきついときもありますが、前向きに考えるしかないですね。「気づかせてくれて、ありがとう」って。

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 親子喧嘩のシーンは、みなとは「何も言わずにそのままリビングへ」って台本には書いてあったんです。でも、ちょっと考えてしまって。「私だったら何か言ってから離れるな」「心の中では強くショックを受けてるんだけど、冷静を装って何か言うと思う」って、監督と話し合って。たぶん言い返すほどの余裕がないのは確かで、でも「あなたにそんなこと言われても、私、普通に立てているから」って顔を見せて去りたいみたいな(笑)。なんていうのかな、これがお母さんの心理なのかな。母としての意地みたいなものかな。

——台本に関して、意見を交わすことは多いのでしょうか?

永作 そうですね。息子の渚とのシーンはよく「どう?」って周りに聞きながら進めていました。難しいシーンが多かったから。大江戸先生とみなとのシーンに関しても、松山(ケンイチ)君がサービス精神旺盛なのでどんどん膨らんでいくんです。それを楽しみながらやっていました。