18年前の松山君は本当にしゃべらなかった
——一人息子の独立後にみなとが通い始めた「鮨アカデミー」の、堅物で不器用な講師・大江戸海弥を演じる松山さんとは、年の差恋愛が話題になった映画『人のセックスを笑うな』以来、18年ぶりの共演です。印象の変化はありましたか?
永作 松山君は、標準語がすごくうまくなってました(笑)。びっくりしました。18年前は、本当にしゃべらなかったんです。まだ外に開かれてない、朴訥な男の子だという印象を持っていたんですが、今はまぁしゃべるしゃべる。それに彼は、ご存知のようにSNS番長なんですよ。ずっとSNSのことを考えています(笑)。
——『人のセックスを笑うな』では、美術学校生の松山さんを20歳年上の永作さんが翻弄する関係でした。当時取材した人たちの間では、撮影が終わっても松山さんが永作さんに翻弄されたままに見えた、と言い伝えられています(笑)。
永作 (笑)。松山君は昔から思っていることを隠せない人で、全部溢れ出ちゃうんですよ。そういった意味でもとても朴訥で素直で、正直な人。そして自分の意見をはっきり持っていて真面目でもある。
あの映画の時は、私の方が先に撮影を終えて一足早くに抜けちゃったし、それ以来18年間一度も会ってなかったから、お互いどこか幻のような感覚なのかな。ある意味、時が止まっているようで、私の中では、今も松山君はあの時のままです。
——今回、みなとと大江戸は、時間をかけながら少しずつ距離を縮めていきます。視聴者はもう恋愛はないのかなと諦めかけていたら(笑)、終盤にぐっと動き始めました。人生経験を重ねた者同士の恋愛を演じるうえで、意識したことはありましたか?
永作 私はもう、相手から来たものをどんと受け止めようと思っていました。松山君も「永作さんの胸を借りて」とか言って撮影に入ってたし、正直二人ともその距離感は感覚だし、手探りで作っていきました。素晴らしい脚本という安心材料を元に、徐々に一つのミドル世代の関係性を作っていきましたね。
年齢を重ねていくうちに、人って、いろんな意味で重くなっていくじゃないですか。若い頃のように勢いに任せて「えいっ」と飛び込めなくなるから、若気の至り的な恋愛は出来なくなっていく。でも、それは決して悪いことではないと思うんです。同じ志を持っている人が近くにいてくれるというのは、先の人生を考えた時にすごく豊かな日々に繫がるんだろうと思いますね。
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他にも、「子育てとの両立に限界を感じ、40代で俳優を休養するという決断」、「休養期間中に始めたカフェが文藝春秋社屋の近くで、ランチに来る文春社員を接客していた話」、「50代の今、疲れを感じたら駆け込む場所」など……記事全文は『週刊文春WOMAN 2026夏号』で読むことができます。
ながさくひろみ/1970年生まれ、茨城県出身。89年にribbonのメンバーとしてデビュー後、94年俳優デビュー。映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2007)でブルーリボン賞助演女優賞、映画『八日目の蟬』(2011)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。
文:高田真莉絵 写真:平松市聖
ヘアメイク:渡嘉敷愛子 スタイリング:岡本純子
TBS系火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』
https://www.tbs.co.jp/tokisushi_tbs/
※TBS系にて6月9日火曜夜10時に最終回を迎える
※TVer、U-NEXTで配信中
子育てを卒業した50歳の主人公・待山みなと(永作博美)が、3ヶ月で鮨職人になれる「鮨アカデミー」に飛び込み、堅物な講師・大江戸海弥(松山ケンイチ)や個性豊かな仲間たちと共に、第二の人生を切り拓いていく。

