それでも事態は沈静化しなかった。5・18関連の市民団体は鄭溶鎮会長をはじめとする経営陣に対する直接告発に踏み切り、李在明大統領が自ら乗り出してスターバックスを「非人間的な所業」と非難したことで、結果的にこの事件は韓国社会を揺るがす論争へと拡大した。
国民の意見も二つに割れている。一方では積極的な不買運動が繰り広げられる中、もう一方では政界が論争を煽り「企業叩き」に走っているという主張もみられる。オンラインの世論も激しくぶつかり合い、大きく分断された。韓国のネットニュースやオンラインコミュニティでは以下のようなコメントが並んでいる。
「5・18に合わせて『タンクデー』を実施し、『机にタック!』という文言まで付けたのは、民主化運動を嘲笑したのではないか」
「スターバックスのタンクデーは歴史に対する嘲笑であり、歴史歪曲だ。不買運動に参加する」
「中小企業でも気づくような文言を、スターバックスのような大企業が見落としたという事実が驚きだ」
「謝罪をしても受け入れられない雰囲気だ。どんな謝罪も通じない社会になりつつある」
「すでに何度も謝罪しているのに、これ以上何を要求するのか。過剰な非難だ」
160人を超える死者が…
5・18光州民主化運動は、1980年5月に光州市民が全斗煥新軍部勢力の退陣と民主政府の樹立を求めて展開した民主化運動である。当時、軍事政権のクーデターに対抗して民主政府の樹立を求めていた市民を、新軍部がタンク(戦車)を前面に押し出した戒厳軍を投入して残酷に鎮圧し、160人を超える死者と70人余りの行方不明者(政府公式集計より)が発生した、韓国現代史における最も悲劇的な事件であった。
国家権力によって数多くの国民が犠牲になったこの悲劇的な歴史は、韓国の映画や小説などの文化コンテンツでも定番の題材として扱われ、その都度大きな社会的反響を呼んでいる。
