なぜ防げなかったのか?

 一方、今回の事態で疑問視されているのは、「なぜ防げなかったのか」である。新世界グループの独自調査によると、問題となったマーケティングは、企画担当者からチーム長、戦略企画本部長、代表取締役に至るまで、少なくとも4段階の決裁を通過していた。それにもかかわらず、決裁ラインにいた関係者7人のうち、ただの1人も「5月18日」「タンク」という組み合わせの危険性を指摘しなかった。

 さらに衝撃的な事実は、一部の決裁者がマーケティング資料が添付されたメールのファイルすら開かず、慣行的に承認していたという点だ。

 特に「机にドン!」というコピーについては、生成AIが活用されていたことが確認されている。担当者は「バッグにすっぽり」「片手にパッと」のように、語感やリズムが合う短い文言をAIから提案され、それをそのまま採用したという。しかし、問題の本質はAIそのものではない。AIが生成したコピーを人間が適切に検証(チェック)しなかった点にある。経験のあるコピーライターであれば、即座に「これは危険だ」と察知したはずだ。

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 これに関して業界からは、構造的な問題が指摘されている。スターバックスコリアは、年間を通じて膨大なイベントを消化しなければならない「プロモーション過多」の状態にあり、個々のキャンペーンを綿密に検証する時間も余裕も失いやすい状況だったという点だ。その結果、上層部のチェックや決裁が単なる形式的な手続きに過ぎなかった可能性があると指摘されている。