――当時の様子や心境を教えていただけますか。
松岡 仕事の中止や延期が相次いで、不安がより大きくなって。結果、うつ病のような状態になり、日常生活を送ることすらままならなくなってしまったんです。
何をするのも辛くて、ただ部屋にいて、天井を見ているだけの日々が続きました。このままじゃいけないのは分かっているけど、麻雀の世界しか知らないから、どうしたらいいかもわからなくて……。
当時からペットを飼っていたんですけど、「この子たちのためにも、ここでくたばるわけにはいかないな」という思いもあって。それから少しずつ、生活を立て直していきました。
「とりあえず自然が多い島に移住しよう。何をするかは行ってから考えよう」
――どのように生活を立て直していったのでしょうか?
松岡 当時29歳だったので、「30歳になるか、1000万円貯めたら新しいことを始めよう」と目標を立てて、貯金を始めました。
お金を貯めながら、麻雀以外にしたいことを考えてみたら、自然が好きなことを思い出したというか、気づいたんです。飽きずに続けてきたことは麻雀だけだと思っていたけど、自然が少ない都会で生まれ育ったのに、釣りや家庭菜園をずっと続けているなって。
それで、「とりあえず自然が多い島に移住しよう。何をするかは行ってから考えよう」と思って、移住することにしたんです。
――そもそもなぜ「島」に移住したかったのでしょうか。自然豊かな場所なら、島でなくてもありますよね。
松岡 「海に囲まれた場所に住むのって、なんかかっこよくない?」と思ったんです(笑)。あと、仕事中心の生活だった頃は、人付き合いを損得勘定で考えてしまうところがあって。「この人と仲良くしたら、仕事につながるかも」って。
でも本当は、仕事の付き合いとか、利害関係のない人たちと、親戚みたいに仲良くなれたら……っていう憧れがあったんですよね。だから、海に囲まれた小さな島なら、ゼロから人付き合いを始められそうだな、と思っていました。
――そして実際に、島移住に向けて動き出すわけですね。
松岡 1000万円が貯まったタイミングで、麻雀関連の仕事は一旦区切りをつけて、同時に家の退去届も出しました。
――急展開ですね。
松岡 退去届を出してから、実際に退去しなきゃいけない1ヶ月間のうちに、車の免許を取るための合宿に2週間行って、残りの2週間で移住先を決めるために、いくつかの島に下見に行ったんですよ。
――もともと八丈島のことは知っていたのですか?
松岡 いや、「名前は聞いたことある」くらいでしたね。
――八丈島以外には、どんな島が候補にあがっていたのでしょうか。
松岡 たとえば、長崎の五島列島も候補でした。コロナ禍真っ只中で心が疲れていた時期に、五島列島を舞台にした「ばらかもん」というアニメを見て「すごくいいな、こういう島に移住してみたい」と思ったんですよ。
実際に行ってみてもすごく素敵な場所だったのですが、私と同年代の人をあまり見かけなかったのが気になりました。移住するなら、年代の近い人がいると嬉しいな、と。
写真提供=松岡千晶さん
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