フィリピンのマルコス大統領夫妻が5月26日から29日にかけて日本に滞在した。国賓としての来日で、日本政府はマルコス大統領に「大勲位菊花大綬章」を贈与。さらに、天皇皇后両陛下主催の宮中晩さん会では愛子さまや秋篠宮ご夫妻、悠仁さまらからも歓迎を受けた。

 なぜ今、日比関係はかように重要になったのか。外交専門家ではないが、その激動の現代史を間近で見てきた報道写真家として語らせていただきたい。(全3回の1回目/つづきを読む)

撮影=宮嶋茂樹

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友好国との軍事的連携を強めるフィリピンの対中国戦略

 地図を見るまでもないが、フィリピンは島国である。その数、無人島も含め7000以上。その中にはフィリピンが領有権を主張しながら、中国軍により実効支配され、実質軍事基地化されてしまった「スプラトリー諸島」なども含まれる。

 そして、我が国も言うまでもなく島国である。その数、フィリピンの約2倍の1万4000以上。もちろん、その中にはロシアに奪われたままの北方領土や、韓国に不法占拠された竹島、さらに今やその周辺海域は実質的に中国の海と化し、日本漁船が自由に操業できなくなった尖閣諸島も含まれる。

 だが、日比が似ているのは、島国であるということと、隣国に島を奪われたという地政学的状況だけである。日本が口先だけの牽制を続けるのに対して、フィリピンの現マルコス政権は、強大な軍事力や核戦力を背景に圧力を強める中国に対し、これ以上、国土を安全、財産を奪われてたまるかという気概を国際社会に見せつけ続けている。

 そんなフィリピンにとって、各国軍との連携強化は必須である。そして、この心意気に応えんと、日本はじめ周辺友好国、はては遠いヨーロッパから「援軍」が駆けつけるようになったのである。

撮影=宮嶋茂樹

 フィリピンには、かつて日米両軍に地元フィリピン・ゲリラまで加わり、血で血を洗う激戦を繰り広げたルソン島がある。小野田少尉が30年以上も密林で情報収集活動と遊撃戦をつづけたルバング島や、のちにGHQ(連合国軍総司令部)最高司令官となるマッカーサー元帥が再上陸したレイテ島も、フィリピンの島の一つである。

 そんなフィリピンで1993年より始まったのが「バリカタン作戦」と銘打たれた共同訓練であった。これは米比主体による、実弾を使用した、きわめて実戦的な訓練である。