さらに、50歳で潤子さんがメニエール病を発症したのをきっかけに、整体師の免許を取得。疲労に伴う肩こりや腰の痛みなど、自分の体のメンテナンスもある程度できるらしい。

「今も50代のつもりでいる」

食事はというと、朝食は仕事の合間に店のパンを一つかじるだけ。昼食は調理師免許を持つ潤子さんの手作りおにぎり弁当を、夕食は自宅でご飯や鍋焼きうどんを食べている。味付けが塩辛いと感じるため、外食はほとんどしないそうだ。

長時間働くにはエネルギーが必要なのだろう。3食炭水化物を摂取しているが、「糖質は摂りすぎないよう注意している」と潤子さんが言い添えた。

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基礎体力を維持するための運動と、禁酒・禁煙。加えて、自ら体のメンテナンスを行う技術があるからこそ、勤続60年という人並み外れた記録を更新し続けられているのかもしれない。

北原さん本人は、「今も50代のつもりでいる」と胸を張る。ただ、取材が始まってから1時間ほど経った頃、ふと視線を向けると「こっくりこっくり」と頭が船を漕いでいた。起こさないように、その間は潤子さんからお話を聞くことに。「ほら、やっぱり疲れてるんですよ」とサッパリした口調で言うが、その目はやさしかった。

「お互いにね、プライベートは大事にしてるんですよ」

ここまで話を聞いてきて、一つ気になることがあった。毎日15時間働いて、定休日は日曜日のみ。これだけ仕事に費やしていると、プライベートの時間がほとんどないのではないか。

ところが、意外にも長年打ち込んできた趣味があるという。それは、30代から続けているボーイスカウトの育成だ。昔は夏になるとキャンプの引率が続き、その都度家族に協力してもらっていたそうだ。今もなお顧問として活動を続けており、行事があると、必ずパンを差し入れている。

「やっぱりパワーがあったんだよね、昔は。逆に、仕事以外に夢中になれることがあったから、パン屋も続けられたんじゃないかな」