「残クレアルファード」というミームも誕生、なぜ圧倒的人気を得たのか

 こうしてヴェルファイアが一気に人気を獲得して覇権が移ったミニバン戦争だが、その天下は続かなかった。依然としてヴェルファイア人気は続くかと思われたが、ここで流れがまた一気に変わる。

 2015年に発売した3代目アルファードが大型グリルを採用し、風格ある印象を高めたのだ。

左が2代目アルファード、右が3代目。顔つきが一気に変わった(トヨタ公式サイトより)

 一方、同年に発売した2代目ヴェルファイアはグリルの上部に太い金属調のバーをあしらって精悍なイメージを狙ったのだが、全体としてエッジを効かせすぎて高級感があまり感じられない印象に仕上がった。

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2代目ヴェルファイア(同前)

 結果としてアルファードが大ヒット車となり、ヴェルファイアはアルファードの3分の1にも届かない販売台数となってしまった(もっともヴェルファイアもブランド別登録台数では25位前後に入っているのだから、十分に人気車と言えるが)。

 ちなみに初代アルファードから2代目までの、およそ高級車とは思えない足回りにも起因する魅力の低さは、3代目で大幅に改良された。リアサスペンションにマルチリンク式(トヨタはWウィッシュボーンと呼ぶ)を採用することで、操縦安定性と乗り心地を高め、運転していても満足感の高いクルマへと仕立てられたのだ。

 一方のエルグランドは、マイナーチェンジでフロントグリルやバンパーの加飾を強調し、アルファード/ヴェルファイア好きユーザーに寄せるなどの努力は続けたが、アルファードを街で見かける頻度が高まるほどアルファードに憧れるドライバーが増えるという現象には勝つことができなかった。

エルグランドはアルファード/ヴェルファイアと戦う気がない?

 振り返ると、これらLクラスミニバンを求める個人ユーザーの多くの購入の決め手に「フロントマスクの押し出し感の強さ」があることは明白だった。初代エルグランドが成功したことと、3代目アルファードが大ヒットしたことの共通項は、やはりフロントマスクの押し出し感だからである。

 またトヨタ勢が売れたのは、風格あるフロントマスクに加え、残価設定クレジットの存在も大きい。残価額が大きく、予算に余裕がない人でも残クレを利用すれば購入できるようになり「残クレアルファード」というミームすら誕生した。アルファードの場合、トヨタディーラーの認定中古車として販売すれば、ディーラーはもう一度利益を生み出せる旨味もある。

 ここであらためて、新型エルグランドに話題を戻そう。

 同車では組子をモチーフとした内外装を取り入れており、フロントマスクの押し出し感は、オラオラ感の強いアルファード/ヴェルファイアほど強くない。これまでの成功パターンを踏襲していないわけで、果たして日産は、社会現象にもなった残クレ勢を取り込むことができるのか?

「マイルドヤンキー」は眼中になし?

 筆者は日産の意図は別のところにあるのでは、と考えている。というのも、エルグランドはアルファード/ヴェルファイアとの真っ向勝負を避け、新たな領域へターゲット顧客を求めているように見えるからだ。


 続く記事では、日産が「残クレアルファード」の主だった購入者層と見られる「マイルドヤンキー」を切り捨てたことを中心に新型エルグランドから透けて見える「意外な狙い」を解説しています。合わせてお読みください。

次の記事に続く 「残クレアルファード勢」は眼中になし? 新型エルグランドが「オラオラ顔」とマイルドヤンキーを切り捨てた、納得の背景

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