6月12日(現地時間、日本では13日早朝)にLAのSoFiスタジアムで行われたアメリカでのワールドカップ開幕式。世界中が注目する大舞台に、一人のアジア人アーティストが立った。世界的人気グループ・BLACKPINKのメンバーであり、ソロアーティストとしても活動するLISA(リサ)だ。(全2回の1回目)

BLACKPINKのLISA(2024年MTVビデオ・ミュージック・アワードで) ©NurPhoto-via-AFP/時事通信社

 純白の衣装でピッチに現れたリサは、ナイジェリア出身のレマ、ブラジル出身のアニッタという異なる大陸のトップスターと大会公式ソング「Goals」を披露した。アフロビーツやラテンポップなど多様な要素が込められた音楽に、LISAの‟K-POP育ち”なキレのあるダンスが融合し、国際的なスポーツの祭典の幕開けにふさわしいステージとなった。

 2023年にインスタグラムのフォロワー数がアジア人女性アーティスト初となる1億人を突破。ルイ・ヴィトンやブルガリといった世界最高峰のブランドのアンバサダーを務め、W杯の開幕式という記念すべきステージに“ソロアーティスト”として招かれる存在へ。改めて、世界が注目する「リサとは何者なのか」。彼女の功績を振り返りたい。

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14歳でタイから単身韓国へ

 彼女の魅力は14歳から培われた不屈のメンタリティと、ステージに全力を捧げるプロ意識、そして等身大で泰然自若な人間性にある。

 今や世界的スターとなったリサだが、その道のりは決して平坦なシンデレラストーリーではなかった。彼女のキャリアの原点は、2010年に母国タイで開催された韓国の大手芸能事務所「YGエンターテインメント(以下、YG)」のグローバルオーディション。数千人が参加した過酷な審査において、唯一合格を勝ち取ったのが、当時まだ中学生だったリサだった。タイ人として初めてYGの練習生となった彼女は、2011年に14歳という若さで単身韓国へ渡る。

リサのインスタグラムより

毎日12時間を超えるレッスン

 そこで待っていたのは、想像を絶するほど過酷な練習生生活だ。当初、知っていた韓国語と言えば「アンニョンハセヨ(こんにちは)」だけ、事務所からは「早く韓国語を覚えなさい」と英語を使うことも制限されていたという。毎日12時間を超えるダンスと歌のレッスン、毎月容赦なく突きつけられる厳しい評価、続々と脱落してゆく仲間たち、そしていつデビューできるかもわからない底知れぬ不安。

 そんな環境の中で、彼女の心を支えたのは、並外れた覚悟だった。のちに彼女は当時の心境を、2024年のUS版「ELLE」のインタビューでこう振り返っている。