映画『モブ子の恋』の主演を務める桜田ひよりさんと、本作で3度目のタッグとなる風間太樹監督。原作コミックの持つ繊細な空気感を、どのようにスクリーンに立ち上げたのだろうか。
自分の中にある「信子の要素」を大きくしていった
風間太樹(以下、風間) 優しさに満ちた原作の世界を描くにあたって、その感慨を押し付けがましく描かないことを心がけました。この作品の登場人物は、優しさを一方通行にぶつけるのではなく、相手をじっと見つめ、「自分にできること」を探している。その葛藤の先に出てくる言葉や行動こそが素敵に描かれている世界なんですよね。
桜田ひより(以下、桜田) はい。私も原作を読んでいたので、もともと主人公の信子が大好きでした。原作のイメージを大切にしながらも、自分の中に眠っている「信子の要素」をいかに大きくしていくかを監督とたくさんお話ししました。
風間 そうでしたね。
桜田 人に対する考え方、自分自身との向き合い方……。私自身の中にある、ネガティブとはまた違った「内向的な部分」を、撮影中ずっと見つめていた気がします。
風間 これまでの作品をご一緒する中で、僕はひよりさんの中にある本質的な淡さを感じていました。それはある種の脆さかもしれないし、人間関係の中で感じる不安かもしれない。人との距離に足踏みしてしまう信子の性格と、ひよりさんが持つ繊細さがどこかで繋がっているのではないかと。だからこそ、この役はひよりさんにお願いしたいと強く思ったんです。
桜田 ありがとうございます。信子は寡黙でも内側が常に渦巻いているような子。演じながら、人にはあまり見せたことのない恥ずかしい部分をさらけ出すような感覚がありました。自分と向き合いすぎて苦しい時間もありましたが、その分、今まで気づかなかった自分の新たな一面に気づかされることも多かったです。


