60歳で新築マンションに買い替え、15年の住宅ローンを組んだ小林幸太さん(仮名)。銀行との日常取引やまとまった頭金のおかげで無事に審査を通り、75歳でついに完済の日を迎えた。

「これで老後は安泰だ」とホッとした矢先、上階に引っ越してきた家族による昼夜問わずの強烈な騒音に悩まされるようになる……。

 ここでは住宅ジャーナリスト・マンショントレンド評論家の日下部理絵氏による著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)の一部を抜粋し、「終の棲家」を手に入れたはずの老夫婦を襲った悲劇について紹介する。

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60歳でローンを組み75歳で完済

 小林幸太さん(仮名)は、妻の弘子さんと都内のマンションで暮らしている。約15年前の60歳の時、老後に備えて新築マンションに買い替えをした。費用は以前住んでいたマンションを売却した資金と退職金の一部を頭金にあてて、残りは住宅ローンを組んだ。

 その住宅ローンを組むのが、一苦労だった。いまでこそ完済時年齢80歳未満、なかには完済時年齢85歳未満の金融機関もあるが、当時は70歳が一般的で金融機関によって75歳がある程度であった。

※写真はイメージ ©asu0703/イメージマート

 なんとか完済時年齢75歳の金融機関でローンを組み、ようやく半年前に完済することができたが、いま思えば60歳から15年間の固定金利、75歳で完済、という無謀なローンをよく組んだものだと、自分でも改めて思う。

 60歳でも借りることができたのは、旧マンションの売却資金と退職金など、新居の購入価格の約半分を頭金として入れることができたこと、マンションが新築だったため物件価値が高かったことが良かったようだ。もし新居が旧耐震基準のマンションなら審査は難しかっただろうと金融機関の担当者が言っていた。

 その銀行の支店とは、現役時代は給料の振り込み、いまは年金の振り込み、公共料金の引き落としと、常日頃から取引があったのも功を奏したようだ。

 金融機関の中には年齢を伝えただけで、話をあまり聞いてくれず門前払いに近い店舗もあった。常日頃から付き合いがある金融機関をつくっておくというのは大切だなと幸太さんは痛感したものだ。