昔ながらの中華そばも若者には「新しい」
確かに他で食べたことのない新しいラーメンは業界に衝撃を与え、食べる側としても驚きを感じることができる。しかし一方で、新しいものを生まなければならないという決まりもない。お店としては店主の納得する美味しい一杯を作り上げ、それがお客さんに受け入れられれば素晴らしいことなのである。とある店主は「ラーメン界はダシの取れるものなら全ての食材のダシを取ってきたはずだ」と言っているぐらいで、常に新しいものを追い求めてきたのである。毎年新しいラーメンが生まれていく中で、ある意味ネタ切れが起きることがあり、こういう時にどんなラーメン店がブレイクするか私は常に注目している。
そんな中ここ数年は、新しいラーメンのブームではなく、「ネオノス」(「ネオノスタルジック」の略)と称される“原点回帰”的なラーメンが一つのブームを生んでいる。いわば「昭和の顔した新店」というやつである。長く愛されてきたシンプルな中華そばを磨き上げ、令和の時代でも十分戦える一杯を提供するお店が増えてきているのだ。これは長いラーメンファンからするとなかなか嬉しいブームなのである。
このネオノスブームが数年続く中で突如彗星のように現れたのが「ちゃん系」であった。「〇〇ちゃんラーメン」という名前で、赤いノスタルジックなテント看板に明朝系の文字で店名の書かれたお店を見たことがないだろうか。シンプルな豚の透き通ったスープは、塩味の高いショッパウマな仕上がり。切りたてのチャーシューをたくさんのせて、無料のライスとともにかっこむ。
まさに昭和スタイルなラーメンだが、これが令和の時代にも大人気である。昭和の時代から生きてきた我々世代にとっては懐かしさを感じ、若い世代からすると「新しい」と感じるそうである。町中華ブームなどにも繋がる現象であろう。
ミシュラン掲載以降、世界を意識した新しいラーメンが一気に増えていく中、従来のラーメンの良さを再確認するかのように生まれたネオノスブームやちゃん系ブーム。ラーメン界はこのブームの行ったり来たりが面白い。
