八宝亭で働き始めたのは2カ月前の前年12月10日。事件当日の午前9時ごろ、間借りしている2階の部屋で目覚め下に降りたところで血みどろの4人を発見した。

 前夜は仕事で疲れており深夜12時ごろ床についたが、そんな日はサイレンが鳴っても目を覚まさないので異変には一切気づかなかった。ただ、従業員募集の貼り紙を見て事件前日から住み込みで働き始めた太田成子という女性がどうも気になる。

捜査線上に浮上した「小太りの女」

 彼女は小太りで20代半ば、身長は150センチ程度、パーマをかけており化粧は厚め。昼間は特に変わった様子もなかったが、閉店後の23時半過ぎ、主人が売上金を計算している姿をじっと見ており、さらに日が変わった午前1時半ごろトイレに行こうと階下に降りると、階段脇の太田の部屋から押し殺すように話す男女の声が聞こえてきた。

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 不審に感じていたところ、彼女が部屋から出て来て、親戚の者が訪ねて来たので今晩は泊めると言う。

 男の顔は見えなかったが、年齢は26、27歳でネズミ色のオーバー、白っぽいズボン、ノーネクタイ、がっしりした体格で、顔は浅黒かった。てっきり太田が男を部屋に連れ込んだものと思い、特に咎めることもなく部屋に戻り再び眠りについた。しかし、朝になると2人ともいなくなっていた──。