日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。

◆◆◆

“令嬢”の損切り

 野村證券系のITシステム大手として、安定した高収益を上げる野村総合研究所(NRI)。柳澤花芽(かが)社長は、柳澤伯夫元金融相を父に持つ“令嬢”である。

ADVERTISEMENT

野村総合研究所の柳澤花芽社長(野村総合研究所提供) ©時事通信社

 老朽化システムの更新やAIなどのデジタル技術活用ニーズは高まっており、金融機関や産業向けのシステム開発・運用サービスで盤石なビジネス基盤を築く。主要顧客には、大株主の野村ホールディングス(奥田健太郎社長グループCEO)があるほか、セブン‐イレブン・ジャパン(阿久津知洋社長)も1970年代から関係が続くお得意様だ。

 そんなNRIの決算に異変が起きたのは今年4月下旬。26年3月期の本決算において、海外事業で1000億円弱の減損損失を計上したと発表した。対象となったのは豪州と北米の買収会社だ。とりわけ豪州は16年の買収によるサービス開始以降、現地での買収や組織拡大を進めてきたが、慢性的な低収益に直面。のれん代のほぼすべてを減損に充てる決断を下した。これにより、連結業績は前期比57%の営業減益となった。

金融担当大臣や厚労大臣を歴任した柳澤伯夫氏は、柳澤花芽氏の父親 ©JMPA

「ここまで思い切った損切りをするのは意外だった」と感想を漏らすのは、ある金融関係者だ。24年4月に社長となった柳澤氏は社長レースのダークホースで「周囲の男性経営陣に気を遣うのでは」(同関係者)とみられていたためだ。

 今回柳澤氏がナタを振るった豪州事業は、前社長で現在取締役会長を務める此本臣吾氏の肝煎り案件。柳澤氏は此本氏が敷いた海外路線は勝算がないと判断し、減損と同時に海外事業の収益目標も大きく引き下げた。社長就任から2年が経ち、「柳澤色」を徐々に打ち出し始めている。

 とはいえ、柳澤氏の路線がこの先盤石とも限らない。

※この続きでは、「使い勝手が悪い」との評判について、関係者がコメントしています。約5700字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年7月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】高市早苗「書かれざる履歴書」/特集 かんたん長生き体操/佐藤愛子秘話 佐伯泰英

2026年7月号

2026年6月10日 発売

1250円(税込)

Amazonで購入する 目次を見る
次のページ 写真ページはこちら