太田さんは、介護についてこう説く。

「介護にまつわる情報を知っていることは、強みになります。親のためと思うなら、情で動くのではなく知識と情報を入手して、自分の生活を守る。知識をうまく活用できたケースもご紹介しましょう」

実例4 世帯分離で高額な医療費の負担を軽減できた

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50代のKさんは独身で、80代の母親と同居していた。母が入院し、治療費が想像以上に高いことに驚いたという。病院に所属する医療ソーシャルワーカーに相談したところ、“世帯分離”という方法を教えてもらうことができた。同居であっても、生計が別なら世帯を分けることができる。世帯分離することで、母親は住民税非課税の1人世帯となり、医療費負担は大幅に軽減された。

施設は可哀想ではない

「ある程度の規模の病院には医療ソーシャルワーカーが常駐していますが、医療や介護の現場は多忙です。すべての情報をこと細かく教えてくれるとは限りません。なので、可能な範囲で、高齢者医療や介護の周辺情報を調べてみることをお勧めします。知らない・わからない・おまかせします、では、損や後悔が生まれることに繋がりかねません。

『こんなことを言ってもいいかな』などと遠慮せず、困っていることをざっくばらんに相談すること。Kさんが医療費の負担が厳しいと包み隠さずに話したからこそ、医療ソーシャルワーカーも本腰で相談に乗ってくれたのではないでしょうか」

再び私事だが、父を7年間特養に入所させていた。それまでは母が介護を担う老々介護だったが、施設にいた方が父は安全だと思ったからだ。当初、母は「可哀想」と言っていたが、父不在の快適な生活にすぐ慣れた。父も3カ月で施設に慣れた。現実を知ったからこそ「施設は可哀想ではない」と声を大にして言える。

「実は、高齢の方だけでなく、若い世代でも『施設=可哀想な人が入るところ』という風に考えている方はいます。家族が面倒をみないのは可哀想、という発想のようですが、根底に『家族が面倒をみるべき』という思い込みがあるのかもしれません。