『育ててもらった恩返し』『同居は最高の親孝行』といった言葉は美談にされがちですが、家族だけで何とかしなければ、と思わせる危険性をはらんでいると思います」
自分の介護はプロに任せてOK
孝行や恩返しという情の部分は脇に置いて、自分にできること・できないことを整理する。これは親も子も同じ。
「『親の介護は子の義務。自分の人生は我慢するしかない』と考える人もいます。しかし、それは思い違いです。確かに、子には親に対し『扶養義務』はありますが、主に経済面での支援を指しています。しかも、未成年の子を監護教育する生活保持義務と違い、親に対しては『自分たちの生活を維持した上で、かつ親の面倒をみるだけのゆとりがある場合に生じる』とされています。生活扶助義務ですね。できることを、できる範囲ですればいいのであって、介護義務はありません。
子の立場の人は、『家族だけで何とかしなければ』と思い詰めることをやめましょう。プロの手を借りることは、何も介護を放棄することではありません。一方、親の立場の人は、子に対し、『あなたは、あなたの人生を大切にしなさい』と伝えることから始めましょう。そして可能な範囲で自分介護を。子に伝えておかないと、いつか『おふくろのため』と仕事を辞めて戻ってきてしまうかもしれませんよ。それは、親子双方にとって、良い結果を生まないのではないでしょうか」
ライター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。
介護・暮らしジャーナリスト
京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。「遠距離介護」「高齢者住宅」「仕事と介護の両立」などの情報を発信。AFP(日本FP協会)の資格も持ち「介護とお金」にも詳しい。一方、1996年遠距離介護の情報交換場のNPO法人を立ち上げて子世代支援(~2023)。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第4版』『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第3版』(以上翔泳社)『遠距離介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版)『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門第2版』(共著、KADOKAWA)など。
