「胃がおかしい」「全摘だな」と言われ…

――42歳で胃がんになったと。

五頭 海外から帰ってきてからです。アメリカ、ヨーロッパを回って戻ってきて、昼はエキストラの仕事をしながら、夜は友人がやっているスナックを手伝う生活をしていたんです。定期的に受けていた人間ドックで「胃がおかしい」と言われて、もう一度診てもらったら「全摘だな」と言われてしまいました。

 顎骨骨髄炎で慶應病院とは縁があったので、セカンドオピニオン的に詳しく診てもらったところ、担当の先生が「半分は残せるかもしれない」と言ってくれたんですよ。それはラッキーだと手術に臨んだのですが、取った部分にがん組織がなかったんです。

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 3月に手術して9月にもう1度手術という形になって、同じところを2度“切腹”しました。結局、全摘です。

 

――「全摘だな」とサラッと言われても。

五頭 全摘と言われた時は、さすがにこたえましたね。顎骨骨髄炎で舞台断念を宣告されて、今度は胃がんで全摘とくれば。ただ、慶應の先生が「半分残せるかもしれない」と言ってくれたときの安堵感は相当でしたけどね。結果的には全摘になりましたけれど。

 タバコは18歳から1日1箱、ハイライトを吸い続けていたし、旅公演中は夜に移動して、次の場所に到着しては酒を飲んで。そんな生活を送ってきたから、胃に来てしまったのかもしれないですね。

胃の全摘後の生活…20キロほど痩せるもやめられないこと

――全摘後もつらいですよね。

五頭 胃がないので食べ物が直接腸に行ってしまうんです。ためる胃がないから、一度にたくさん食べられない。今も1日6回か7回に分けて、お腹が空いたら何か口に入れるようにしています。劇団にいた頃は72キロあったのに、20キロほど痩せてしまいましたね。現在は56キロとか57キロです。

 2度の手術で腹筋を切られてしまっているから体が引っ張られるような感覚があって、どうしても猫背になってしまって。これはずーっと続いていますね。

 そんな状態なのに、お酒をついつい飲んでしまうこともあります。胃がないもんだから回りが早くて(笑)。タバコもやめられていませんね。

胃がんになって入院していた当時の五頭岳夫さん(事務所提供)

自分の生活スタイルにも合っていた映像の世界

――映像の世界へ移ったわけですが、舞台の頃よりも働きやすかったですか。

五頭 顎のおかげで舞台は無理だとわかっているわけですから。じゃあどうするかと考えたけど、いまさら別の仕事ができるかといえばできない。もう映像の世界へ進むしかなかったですね。

 胃がんの治療で通院の日程が決まっているから、それに合わせて動ける仕事でもありましたし。エキストラ事務所に登録して、「五頭さん、明日空いていますか?」と聞かれて「はい」と答えて現場に行く形が、自分の生活スタイルにも合っていたんです。