Netflix『地面師たち』でホームレスの老人を演じ、鮮烈な印象を残した俳優・五頭岳夫(78)。

 同作でブレイクを果たし、出演シーンがミームとして使われ、Tシャツにまでなってしまった五頭氏に、バズったことに対する思い、“老い”との向き合い方、今後の展望などについて、話を聞いた。(全5回の5回目/1回目から読む

五頭岳夫さん ©杉山秀樹/文藝春秋

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「この人のこの表情、この人のこの動き」という引き出しを作って溜めておく

――ブレイクのきっかけとなった『地面師たち』のホームレス老人・佐々木を演じるにあたって、どんなことを意識しました。

五頭岳夫さん(以下、五頭) やや認知症の症状が出ているような雰囲気を出すようにしました。ホームレス役となると、みんなパターン化してしまいがちです。それをしないためにどうするかを常に考えてきました。

 そのために引き出しをいっぱい作って、現場に持っていくようにしているんです。たとえば冤罪で大変な思いをされてきた袴田巌さん。袴田さんは、時折飛び跳ねるような動作をすることがある。そうしたいろんな方を見て、「この人のこの表情、この人のこの動き」といった引き出しを作って溜めておくんですね。

『凶悪』では地方のちょっとした土地を持っている人物を演じているんですけど、その時に作ったキャラクターが『地面師たち』のホームレスにも引き継がれているところがありますね。

『地面師たち』に出演した五頭岳夫さん(事務所提供)

ワンデイは共演者となかなかコミュニケーションが深まらないのが実情

――現場では、綾野剛さんや豊川悦司さんとやりとりを。

五頭 綾野さんにはフレンドリーに接してもらいました。豊川さんは一目置かなきゃいけないなという感じで。まあそれは自分が勝手にそう思っているんですけど(笑)。

 ただ、私のように1日で出演シーンすべてを撮り終えてしまう俳優だと、共演の方々ともなかなかコミュニケーションが深まらないのが実情で。

 何日かあると「あの現場ではどうでしたね」という話になるんですが、ワンデイだと難しい。だからレギュラーで出させていただいた篠原涼子さんのドラマ『パンチドランクウーマン2』では、他の囚人役の方々と盛り上がれたのがすごくうれしかった。