「すぐに正式オファーを出す!」
その言葉どおり、2時間後に正式オファーのレターが送られてきました。経営陣から信頼されているカルロスだからこそできた異例の速さです。
カルロスの電光石火のオファーが、塩貝選手の心を動かします。
最終的な決定までにいろいろありましたが、それはあらためてあとの章で触れたいと思います。
2024年8月28日、塩貝選手のNECナイメヘン入団が発表されました。慶應大学を休学しての欧州挑戦です。
相手の「裏」をかいた違約金交渉
僕がカルロスとの交渉で徹底的にこだわったのは、違約金を盛り込むことでした。当然ながらカルロスとしては違約金を入れたくありません。
一方、僕は選手のステップアップをしやすくするために絶対に盛り込みたい。互いに譲らず、主張は平行線をたどりました。
そこで僕が提案したのは950万ユーロという一見高額に見える違約金設定でした。当時、NECナイメヘンから移籍金950万ユーロ以上で他クラブへ旅立った選手は一人もおらず、500万ユーロが過去最高の移籍金でした。カルロスたちにとっても未知の金額です。
「いくら才能ある若手とはいえ、さすがにその金額を払うクラブは出てこないだろう」
彼らはそう感じたはずです。
現にカルロスは、塩貝選手が移籍したあとのインタビューで「まさかその違約金が行使されるとは思っていなかった」と認めていました。
そのような流れで塩貝選手の契約書に違約金を盛り込むことができたのです。
この違約金設定が、のちに大きな意味を持ちます。
