塩貝選手はたくさんの壁にぶつかりながらもそのたびに乗り越え、驚異的なスピードで結果を出し続けました。

 そして2026年1月、ドイツ1部のボルフスブルクからオファーが届いたのです。

 そのときNECナイメヘンはオランダリーグで4位につけていました。2位になればチャンピオンズリーグ(CL)出場権が得られ、3位になればCL予選への出場権が得られます。クラブ史上初のCL出場権獲得に向け、カルロスたちは塩貝選手の売却を拒否する意向でした。

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ドイツ1部のボルフスブルクに移籍(本人のInstagramより引用)

選手の未来を左右する違約金

 どんなに選手がステップアップを望んでも、彼らが最優先するのはクラブの歴史を築くことでした。

 しかし、すべてに勝るのが違約金なのです。

 すでに書いたように、違約金を満額払うクラブが現れたら抗うことはできません。2026年1月20日、ボルフスブルクが満額を用意したことにより、塩貝選手のボルフスブルク移籍が決定しました。

 ヨーロッパではイングランドのプレミアリーグ、スペインのラ・リーガ、ドイツのブンデスリーガ、イタリアのセリエA、フランスのリーグ・アンが5大リーグと呼ばれています。

 日本代表の森保一監督は塩貝選手がリスクを冒して5大リーグへ挑戦したことを評価し、2026年3月に初めて日本代表へ招集しました。

 森保監督はメンバー発表記者会見で次のように説明しました。

「ボルフスブルクに移籍してからの活躍の度合いは、前所属チームのときのほうがインパクトはあるかもしれません。ただ、我々は常々5大リーグでプレーすることを目標にしてほしいと話してきました。彼はW杯に向けて、さらにチャレンジして自分自身を高めようとしている。日本代表チームの監督として、一人の日本人指導者として、高みを目指してチャレンジして舞台を変えてステップアップしているところを評価したいと思いました」

 もしNECナイメヘンに留まっていたら、日本代表に招集されなかったかもしれません。

 違約金の条項は契約書の中ではわずか1行です。その1行が選手の未来を左右するのです。

※本記事は『最強の代理人 欧州最前線の代理人が日本サッカーを強くする』(KADOKAWA)を一部抜粋・再編集したものです。

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