6月9日、女優の中村玉緒さんが亡くなった。生前に中村さんは、月刊誌『文藝春秋』のインタビューで、“最愛の男”勝新太郎の思い出を振り返っていた(文藝春秋2022年1月号)。
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「これはおもろいやないか」
亡くなってもうすぐ25年になるんです。夫のことでは、忘れられないことは多すぎます。
何からお話ししてええのか迷いましたけど、私と彼の最初で最後の共演になった舞台について聞いて頂きましょう。
亡くなる前の年、平成8年の5月に「夫婦善哉」を演ることになったんです。もう、勝は下咽頭癌を患ってることを知っていて、舞台より映画を撮りたがってたんです。彼が製作した「無宿」で共演した(高倉)健さんを主役に据えた企画でした。打ち合わせのために会おうとしてましたけど、スケジュールの折り合いがつかないままだったようです。
それで舞台をやろうってなりまして、夫が演出も兼ねて主人公の維康柳吉、私が蝶子という配役でした。ほんまの夫婦が夫婦を演じる。「これはおもろいやないか」って。
女優である私としては、尊敬する演出家で俳優の勝新太郎と共演出来るのが心から嬉しかったんです。

